コロナ禍のマイナスをプラスに「JLAA地方創生アワード」食・農関連5件受賞2021年5月27日
全国の都道府県で活躍する広告会社を会員に持つ日本地域広告会社協会(JLAA)は5月24日、第5回「JLAA地方創生アワード」の受賞者を決定。コロナ禍のマイナスをプラスにした事業が受賞し、最優秀賞には北海道余市町、茨城県、岐阜県、岐阜県本巣市の4事業が選ばれ、「食」「農」関連事業からは5件が受賞した。
同協会は地方自治体の優秀な事業の事例を社会全体で広く共有することを目的に、2016年に「JLAA地方創生アワード」を創設。全国の会員社が、それぞれの地域で受託した行政が主管する事業を対象に選考し、毎年表彰している。5回目となる今回は、同協会の会員社が各地の地方自治体から2020年1月から12月までの1年間で受託した多くの事業から12件がエントリー。厳正な審査の結果、最優秀賞は、北海道余市町の「食の都よいち地域まるごとマリア―ジュ推進プロジェクト」、茨城県産業戦略部産業政策課の「いばらき地酒パンフレット制作事業」、岐阜県農政部農業経営課の「農福連携活動の普及啓発動画等制作・配信委託業務」、岐阜県本巣市の「本巣ジビエ・徳山唐辛子のグルメスタンプラリー#ジビレール飯冊子作成業務」の4事業が決まった。また、優秀賞は、愛知県名古屋市の「KITAJAZZ!メンバーズプロモーション業務」、2R推進実行委員会(名古屋市)の「食品ロスに関する川柳募集企画運営業務」、岡山県産業労働部観光課の「台湾での「桃太郎的故郷日本岡山!」プロモーション等の実施に係る業務」の3事業にそれぞれ決まった。
今回の受賞事業は、「コロナ禍」の中で、マイナスをプラスに、そしてコロナを超えようとする事業が多く見られ、総評では、「人が移動することで経済が動いていた地方自治体が多く、コロナ禍での移動制限やイベントの自粛・縮小は大きな痛手となったが、日本全国が同じ状況であることを考えれば、コロナ禍なりのプロモーションは重要。見方によっては、これまであまりプロモーションを実施してきていない地域にもチャンスが到来したということにもなる。事業そのものの目的は地域によってさまざまだが、コロナ禍での業務の進め方は参考になる事例が多く、多くの地方自治体の今後の事業の設計に役立つことが出来るのでは」としている。
【最優秀賞の4事業】
(1)北海道余市町
事業名:食の都よいち地域まるごとマリア―ジュ推進プロジェクト
<概要>
コロナ禍の中、国内外で品質の良さで評価されている余市町の食材の新たな販路開拓策として、主に首都圏で活躍しているシェフやバイヤーに対してオンラインでプレゼンテーションを実施。"料理界のオリンピック"とも呼ばれる世界最高峰のフレンチ・コンクール「ポキューズ・ドール」の2020年の日本代表である戸枝忠孝シェフ(軽井沢「レストラン・トエダ」のオーナー)を起用し、余市町の食材の可能性をアピール。コロナによって、東京の富裕層が軽井沢の別荘に転居する動きがあり、食に対してこだわりを持つ彼らのニーズに応えたい地元のシェフたちから注目され、新たな販路開拓の可能性を可視化できた。
~審査委員コメントからの一部抜粋~
・「余市町と軽井沢」という組み合わせが面白い。
・販路開拓施策としてコロナ禍でのリアルとリモートを上手く融合させた良い事例である。
・オンラインの強みを活用し可能性を拡げた。
(2)茨城県産業戦略部産業政策課
事業名:いばらき地酒パンフレット制作事業
<概要>
茨城県内外の方に対して、茨城県産の日本酒の魅力を伝えるパンフレットを制作するという、いたってシンプルに見えてしまう目的に対して、パンフレット自体にインパクトを持たせるために、元サッカー日本代表選手で、2015年に(株)JAPANCRAFTSAKECOMPANYを設立して日本酒に関するさまざまな事業を展開する等、日本酒に精通した中田英寿氏を起用。県内の酒蔵を訪問し、銘柄を選定してもらい、さまざまな見地からの情報を盛り込み、地酒65選等、これまでにない茨城県の日本酒のパンフレットが完成した。コロナ禍によりパンフレットを配布するイベントが中止されたにもかかわらず、増刷するほど好評のパンフレットになった。
~審査委員コメントからの一部抜粋~
・著名人の中田英寿氏の起用はインパクトがある。「百酒繚乱」のタイトルも良い。
・単なるパンフレットでなく、メディア(読み物)っぽくしているところが魅力的。
・「地酒65選」は圧巻。
・茨城にはお米やメロン等、隠れた魅力がある中、その1つを掘り起こしていて意義ある企画。
(3)岐阜県農政部農業経営課
事業名:農福連携活動の普及啓発動画等制作・配信委託業務
<概要>
農福連携は、障害者等が農業分野で活躍することを通じ、障害者は就労や生きがいづくりの場を生み出し、担い手不足や高齢化が進む農業分野においては新たな働き手の確保につなげていく、という、社会課題をニーズとシーズのマッチングで解決を図っていこうとする国策の一つ。しかし、農福連携の取り組みや農福商品をPRする機会がコロナ禍により減少し、社会的な認知度がなかなか上がらない現状がある。そこで、岐阜県は「食」を巻き込むことで、社会的な広がりを作っていく。食を通じることで、農福連携の認知度が上がり、農福商品の売上も拡大。最終的には岐阜県の農福商品のブランド化までをも狙う。
~審査委員コメントからの一部抜粋~
・今後の農業の社会問題のひとつの解決策として考える機会として、とても良いPRだと思う。社会課題の解決に一石を投じた。
・メディアを駆使した展開と農福をまず知ってもらう仕組みとして工夫が見られる。
・入念な段取りで認知経路をしっかり意識したプロモーションに感銘を受けた。
(4)岐阜県本巣市
事業名:本巣ジビエ・徳山唐辛子のグルメスタンプラリー#ジビレール飯冊子作成業務
<概要>
コロナ禍で経営状態が厳しい飲食店を盛り上げることを目的に、各地で行われている「#●●飯」の流れを受け、「#ジビレール飯」をキャンペーンタイトルとして、本巣ジビエ・徳山唐辛子料理取扱店舗を周遊する、地元応援グルメスタンプラリーを開催。コロナ禍での対応としてテイクアウトも出来るメニューで実施。1冊まるごとスタンプラリーという8頁の冊子を制作し、本巣市内世帯85%以上に配布しているフリーペーパー(生活情報誌)を使って市民に配布。袋綴じにすることでインパクトを与え利用率を上げた。参加店は、新型コロナウイルス対策実施店舗として県が発行しているステッカーを掲出。さらに、参加店が感染予防対策を積極的に実施している旨を冊子に記載。SNSも活用し、インスタ映えフォトコンテストを同時開催。多くの人に知らせることができた。
~審査委員コメントからの一部抜粋~
・「#シビレール飯」のネーミングが秀逸。
・認知促進、新ターゲット開拓、そのためのデジタル活用と企画がマッチしていて、今後のひとつのモデルのように感じました。
・ポスター等の表紙デザインが、興味を持たせるビジュアル。
重要な記事
最新の記事
-
【稲作農家の声】被災農家も「米が作りたい」 国は本気の支援を 宮岸美則・石川県農民連会長2025年6月12日
-
備蓄米の認知率98.7%、一方で「味に不満」6割超、主食の転換の兆しも ノウンズ調べ2025年6月12日
-
備蓄米競争入札分 実需者・小売に7万t 売渡数量の23%2025年6月12日
-
36都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月12日
-
集落営農 法人組織41.9% 前年から1.8%増2025年6月12日
-
【'25新組合長に聞く】JA甘楽富岡(群馬) 今井善圓氏(5/27就任) 組合員・地域とのふれあいから農協の意義再認識2025年6月12日
-
米卸は全国に1822社 1億円未満が30.5%の555社「米卸業者の動向調査」帝国データバンク2025年6月12日
-
【JA人事】JAくしろ丹頂(北海道) 千葉喜好組合長を再任2025年6月12日
-
食卓と農の現場の距離を縮める取組と今後の展望「令和6年度 食育白書」農水省2025年6月12日
-
「みどり脱炭素海外展開コンソーシアム」入会受付開始 農水省2025年6月12日
-
焼酎とイモ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第344回2025年6月12日
-
全農杯全日本卓球選手権大会大分県予選会 JA全農おおいたが県産農産物提供2025年6月12日
-
三重県JA-MC運営協議会が第36回定期総会 農機作業の業務改善、階層別研修でサービス向上へ2025年6月12日
-
「田んぼの生きもの調査」で田植えを体験 JA全農福島2025年6月12日
-
JA新潟かがやき産「大玉すいか」でトップセールス JA全農にいがた2025年6月12日
-
「JAタウンアワード」1位はJA全農長野「全農長野僕らはおいしい応援団」2025年6月12日
-
大規模な低酸素環境で殺虫 地球環境に優しい窒素ガス置換殺虫技術を開発 農研機構2025年6月12日
-
安全性検査クリアの農業機械 農用トラクターなど3機種15型式を公表 農研機構2025年6月12日
-
データで農業を変える「WAGRIオープンデー2025」開催 農研機構2025年6月12日
-
【人事異動】デンカ(7月1日付)2025年6月12日