「玄米」で非アルコール性脂肪肝を予防・抑制 メカニズムを解明 東京農業大学2021年7月15日
東京農業大学は、アルファー食品株式会社(島根県出雲市)との共同研究で、肥満の原因となるNAFLDが、玄米を食べることで予防・抑制できることと、その作用機序について明らかにした。特に、これまで報告例のない「ビタミンA代謝を亢進」することで脂質代謝を改善することがわかった。この研究結果はNAFLDの発症予防と治療に有効で、今後その有効成分を明らかにすることで米の消費拡大とともに、新たな薬剤開発につながることが期待される。
玄米は、食物繊維を多く含むことから整腸効果、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっており、ビタミンE、ナイアシン、ビタミンB1、マグネシウムや、脂質代謝改善能を有する特有な成分としてγ-オリザノールや GABAが含まれている。また、未だ同定されていない成分も多く含まれることから、玄米が持つ機能成分や効果のさらなる研究は肥満症・糖尿病の予防法や治療法に大きく寄与することが期待されている(図1参照)。
図1
同研究では、遺伝的に過食による肥満の脂肪肝モデル動物(Zucker fattyラット)に、基本飼料(AIN-93G)に含まれる糖源であるコーンスターチをアルファ化した白米や玄米の粉末(アルファー食品株式会社製)に置き換えたものを与えて10週間飼育。その結果、AIN-93Gを与えたラットは肥満とNAFLDの症状を示した。白米ではわずかに効果が見られたが、玄米を餌に混ぜたラットはNAFLDを示さなかった。また、血中の肝蔵の炎症を示す障害マーカーも、NAFLDで上昇し、玄米を食べたラットでは低下していた。
このメカニズムを解析する目的で、脂質代謝に関わる因子、特に今回は脂肪酸の分解(β酸化)と中性脂肪の血中への分泌に関係する遺伝子の発現量を解析したところ、β酸化に関わる遺伝子、分泌に関わる遺伝子がNAFLD発症で低下し、玄米摂取で回復・上昇した。
次に、これらの遺伝子の発現回復・上昇の原因を探った。レチノイン酸シグナルが関係すると予想されたことから、その生合成に関わる遺伝子の発現を解析。その結果、玄米摂取群では肝臓中のレチノイン酸生合成が上昇していた。これらの結果から、玄米の摂取でビタミンA代謝が亢進し、レチノイン酸の生合成量が増加。核内受容体を介して脂質代謝関連因子遺伝子の発現量が上昇、NAFLDが改善したことがわかった。
以上の結果から同研究チームは、過食による肥満ラットがビタミンA欠乏を伴って発症したNAFLDは、玄米を食べることで予防、もしくは改善できると結論した。
脂質代謝はビタミンA代謝に大きく左右される一方、NAFLDの発症原因はよくわかっていない。高脂肪食を食べると肝臓中のビタミンA代謝が抑制されるという報告があることから、原因の一つに肥満による潜在的ビタミンA欠乏があるという説がある。また、NAFLDの改善にビタミンAの活性本体の一つであるレチノイン酸の誘導体が有効という研究報告があるが、レチノイン酸は生体内ではその生合成量が厳密にコントロールされている。そのため、外部からの投与では過剰症を生じる可能性があり、慎重な投与が求められる。
今回の研究成果は玄米摂取がレチノイン酸の生合成経路を回復させる作用機序を明らかにしたもの。生体が持つ調節機構を正常化することで、過剰症を気にすることなく、日常の食事で病状の回復が見込めると考えられ、多くの人が、負担なくNAFLDの回復をめざせる可能性がある。
Zucker(基本飼料)群/Zucker(白米)群/Zucker(玄米)群
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