ジャガイモ・サツマイモの品種開発を効率化 DNAマーカー迅速作製法を開発2021年9月15日
農研機構と石川県立大学は共同で、交配による品種改良で、多くの染色体組み合わせが生じるため優良な個体の選抜が難しいジャガイモやサツマイモなどの高次倍数体作物で、迅速にDNAマーカーを作製する方法を開発。ゲノム配列解析を、各作物に適した解析条件を設定し、目的とする性質が異なる2種類の個体群を抽出しそれぞれ混合して解析することで、これまで1年以上かかっていたDNAマーカーの作製期間を最短2か月に短縮できた。
ジャガイモ・サツマイモのゲノムとDNAマーカー作製について
ジャガイモやサツマイモは、それぞれ4組、6組の染色体セットをもつ高次倍数体作物で、交配により得た子孫では非常に多くの染色体組み合わせを生じる。2組の染色体セットをもつ二倍体作物のイネなどと比べると膨大な染色体組み合わせ数となるため、目標とする遺伝子型に近い個体を得ることが難しく、作業に非常に大きな労力が必要となる。
効率よく個体を選び出すために、病気に強い、いもが美味しいといった性質を選抜できるDNAマーカーを開発し、手間のかかる病気の検定、いもの品質評価を、より簡便なDNAマーカーを用いて苗の段階で行う試みが始まっている。
これまで、いも類でDNAマーカーを作製する場合、交配して得た多数の後代個体について個別にゲノム配列を解析しており、大規模なものとなりがちだった。また、データ解析の工程が多いため、注目する性質を選抜できるDNAマーカーの作製に1年以上かかり、産地や実需者からの多様なニーズに即応できなかった。
農研機構と石川県立大学は、解析時間の短縮を目指して、目的とする性質の差異で交配後代を2グループに分け、両者のゲノム配列の違いを解析するQTL-seq法に着目。しかし、QTL-seq法は、イネなどの二倍体作物向けに開発されたものであったため、染色体セットが2組より多い高次倍数体作物へは適用できなかった。そこで、複数ある染色体セットごとに有用
遺伝子を探索する方法を考案し、4組(ジャガイモ)、および6組(サツマイモ)の染色体セットの数に応じて配列の違いを検出できるように条件を変更することで、高次倍数体作物でDNAマーカーを作製できるpolyploid QTL-seq(ポリプロイドキューティーエルセック)法を開発した。
この方法により、交配後代の性質の調査から最短2か月でDNAマーカーが効率良く作製できるようになった。今後、様々な品種改良の場面に適用して有効性の検証を重ね、DNAマーカー開発が大幅に加速化されることにより、産地や実需者のニーズに対して迅速な品種開発が期待できる。
重要な記事
最新の記事
-
フードバンク、子ども食堂への備蓄米無償交付を追加 農水省2025年6月25日
-
【人事異動】農水省(6月23日付、24日付、25日付)2025年6月25日
-
ブラジル向け精米 検疫条件が緩和 農水省2025年6月25日
-
【JA人事】JA松任(石川県)得田恵裕組合長を再任(6月21日)2025年6月25日
-
【JA人事】JAハリマ(兵庫県)柴原利春組合長を再任2025年6月25日
-
土壌診断研修会(基礎編)を開催 JA全農みえ2025年6月25日
-
みえの米ブランド化推進会議総会を開催 高温耐性「結びの神」拡大へ JA全農みえ2025年6月25日
-
「2025愛媛みかん大使」募集中 JA全農えひめ2025年6月25日
-
第53回通常総代会を開催 JA鶴岡2025年6月25日
-
青森県産 稀少な大玉さくらんぼ「ジュノハート」を数量限定販売 JAタウン2025年6月25日
-
【農と杜の独り言】第1回 国際園芸博覧会とは 千葉大学客員教授・賀来宏和氏2025年6月25日
-
アズキの遺伝子の知見を利用 ダイズのさやの弾け難さを強化 農研機構2025年6月25日
-
「水稲移植栽培における除草剤体系処理によるナガエツルノゲイトウ防除技術」SOP公開 農研機構2025年6月25日
-
"カメムシ急増"に天然成分100%の「モスガード スプレー」 第三者機関の試験で一定の効果 たかくら新産業2025年6月25日
-
近赤外分光とAI活用の次世代土壌分析サービスを開始 片倉コープアグリ2025年6月25日
-
袋で売れ方が変わる「スイカ資材キャンペーン」開催中 ベルグリーンワイズ2025年6月25日
-
福井の耕作放棄から生まれた「三里浜オリーブ」国際オリーブオイルコンテストで金賞2025年6月25日
-
夏の快適な水分補給に「ストロー付き真空断熱タンブラー450ml」販売開始 コメリ2025年6月25日
-
ヤマタネグループ ウェブサイトをリニューアル2025年6月25日
-
東海地域初の農業展示会「AGTS農業展」でアクアポニックスブース出展 アクポニ2025年6月25日