イノシシの行動圏や生息地利用を解明 GPS首輪のデータから特定 岐阜大学2023年6月28日
岐阜大学応用生物科学部附属野生動物管理学研究センターの池田敬特任准教授、東出大志特任助教(現 石川県立大学講師)、鈴木嵩彬研究員(現 同センター特任助教)、同学部淺野玄准教授らの研究グループは、イノシシの行動圏や日中と夜間における生息地利用を解明した。この成果を活用することで、農作物被害や豚熱などにおいて捕獲や経口ワクチン散布などの対策を効果的に検討・実施が可能になり、今後、イノシシ管理への貢献が期待される。
図1:岐阜県美濃加茂市でGPS首輪を装着した7頭のイノシシにおける行動圏。
各色が各個体の行動圏、各色の内部にある白色が集中利用域を示す
同研究では、GPS首輪をイノシシに装着することで、イノシシが利用している範囲や、日中と夜間における利用場所の特定に成功。
イノシシは比較的狭い範囲を利用し、人間活動が活発な時間帯では、人間の生活圏に近い環境や、人間が近付きやすい斜面を避けた一方、人間活動の少ない時間帯では、耕作地周辺を選択的に利用していることが明らかになった。
イノシシの利用場所とその時間帯を把握することで、対策の重点地域を特定し、農作物被害や豚熱における対策を効果的に検討することが可能となる。
図2:イノシシが選択する利用環境のイメージ。日中(左図)は休息時、夜間(右図)は活動時を示す
同研究成果は、日本哺乳類学会の発行する国際学術誌『Mammal Study』6月24日付で公開された。
なお、同研究は環境研究総合推進費「イノシシの個体数密度およびCSF感染状況の簡易モニタリング手法の開発」と岐阜県「清流の国ぎふ森林・環境税」を活用した「清流の国ぎふ森林・環境基金事業:野生動物総合対策推進事業」の一環として行なわれた。
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