共創のプラットフォームめざし「全国産直研究交流集会 2024」開催 日本生協連2024年2月22日
日本生活協同組合連合会は2月16日、17日、20日の3日間、産直に関わる生協・生産者団体、流通事業者を対象とした「全国産直研究交流集会2024」を開催。産直に関わる全国の生協の役職員・組合員・生産者団体・関係企業など、140団体、約430人が参加した。
1日目に行われたトークセッション。
左から、モデレーターの平野路子氏(日本生協連政策企画室)、嶋康博氏、杉田佳寿子氏、小林啓子氏、佐藤哲郎氏
この交流会は、「次世代へつなぐ生協産直」をテーマに開催。1日目の全大会では、ヤマガタデザイン代表取締役の山中大介氏が、「地方の希望であれ~地方の課題を解決する事業の生み出し方~」をテーマに講演。人口減少、少子高齢化という地方が抱える課題に対し、「人口減少は不可避だが、そのなかでも地域に希望を持てることが重要」とし、特に民間が自らの手で地域・社会課題に挑む必要性を強調した。
続いてパルシステム生活協同組合連合会/全国産直研究会 代表委員の那須豊氏が、全国産直研究会報告を行い、「第11回全国生協産直調査報告書」を公開した。今回の調査から見えてきたことを、同調査の検討部会委員の1人で、農林水産省の食料・農業・農村政策審議会 基本法検証部会長を務めた中嶋康博氏から報告。食料安全保障問題や生産資材高騰、人手不足など生協産直を取り巻く環境が大きく変化するなか、生協産直はこれらの問題にどう向き合い行動していくのか、あらためて考える場となった。
さらに、講演内容を踏まえ、「次世代の生協産直のありたい姿とは」をテーマにトークセッションを実施。生協組合員、生産者、生協職員、中嶋教授が意見を交わした。前半では「生協産直の魅力」がテーマとなり、パネリストからは、顔の見える関係からさらに一歩踏み込んだ、相対(あいたい)という関係が築けるのが良い」(小林啓子氏/野菜くらぶ取締役課長)、「産地交流などを通して、生産者とつながり信頼が生まれる」(杉田佳寿子氏/コープみらい組合員理事)、「価格などの難しい課題についても率直に話してくれる」(佐藤哲郎氏/パルシステム連合会野菜課課長)など意見が出された。中嶋氏は「生協産直の組合員、生産者、職員の関係性には心理的安全性がある。三者が個別の利益を超えて、トータルな利益を見据えて話ができる」とコメントした。
後半では「生協産直が持続可能であるために必要なこと」について意見が交わされ、「情報が溢れる社会のなかで本質の情報を伝えていくことが大切」(小林氏)、「生産者と膝を詰めて話してコミュニケーションを取っていくこと」(佐藤氏)、「生産者の熱意が分かるエピソードを知ると熱い想いになる。ファンを増やして生産者が安心して、持続的な農業ができるようにしないと」(杉田氏)などの声が挙がり、中嶋氏は「競争社会では隠されたり、独占されたりしがちな情報を出し合える関係性は生協産直だからこそ」と生協産直の持続性には情報が重要な役割を果たすとした。
最後に中嶋氏が、「組合員、生産者団体、生協の関係性は『仲間になっている』ということで、それこそが提言でも示した『プラットフォーム』。仲間と言える関係を続けていくことに期待したい」と述べて締めくくった。
2日目は、「2030年の生協産直ビジョンを語ろう」をテーマに分散会を実施。「生協産直と役職員の関係」について「生協産直と生産者団体について」などの個別報告を受けながら、参加者同士の交流と、生協産直を担っていく次世代メンバー一人ひとりが生協産直のありたい姿を考え、自分の組織でできることを考えるためのグループワークを実施した。
また、3日目の分科会では、「産地の担い手づくり」「農福連携」「耕畜連携、 自給・国産飼料」などのテーマ別にオンライン形式で各地の取り組みを報告。参加者と地域課題や持続可能な生産について考えた。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(173)食料・農業・農村基本計画(15)目標等の設定の考え方2025年12月20日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(90)クロロニトリル【防除学習帖】第329回2025年12月20日 -
農薬の正しい使い方(63)除草剤の生理的選択性【今さら聞けない営農情報】第329回2025年12月20日 -
スーパーの米価 前週から10円上がり5kg4331円に 2週ぶりに価格上昇2025年12月19日 -
ナガエツルノゲイトウ防除、ドローンで鳥獣害対策 2025年農業技術10大ニュース(トピック1~5) 農水省2025年12月19日 -
ぶどう新品種「サニーハート」、海水から肥料原料を確保 2025年農業技術10大ニュース(トピック6~10) 農水省2025年12月19日 -
埼玉県幸手市とJA埼玉みずほ、JA全農が地域農業振興で協定締結2025年12月19日 -
国内最大級の園芸施設を設置 埼玉・幸手市で新規就農研修 全農2025年12月19日 -
【浜矩子が斬る! 日本経済】「経済関係に戦略性を持ち込むことなかれ」2025年12月19日 -
【農協時論】感性豊かに―知識プラス知恵 農的生活復権を 大日本報徳社社長 鷲山恭彦氏2025年12月19日 -
(466)なぜ多くのローカル・フードはローカリティ止まりなのか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月19日 -
福岡県産ブランドキウイフルーツ「博多甘熟娘」フェア 19日から開催 JA全農2025年12月19日 -
α世代の半数以上が農業を体験 農業は「社会の役に立つ」 JA共済連が調査結果公表2025年12月19日 -
「農・食の魅力を伝える」JAインスタコンテスト グランプリは、JAなごやとJA帯広大正2025年12月19日 -
農薬出荷数量は0.6%増、農薬出荷金額は5.5%増 2025年農薬年度出荷実績 クロップライフジャパン2025年12月19日 -
国内最多収品種「北陸193号」の収量性をさらに高めた次世代イネ系統を開発 国際農研2025年12月19日 -
酪農副産物の新たな可能性を探る「蒜山地域酪農拠点再構築コンソーシアム」設立2025年12月19日 -
有機農業セミナー第3弾「いま注目の菌根菌とその仲間たち」開催 農文協2025年12月19日 -
東京の多彩な食の魅力発信 東京都公式サイト「GO TOKYO Gourmet」公開2025年12月19日 -
岩手県滝沢市に「マルチハイブリッドシステム」世界で初めて導入 やまびこ2025年12月19日


































