流通:食は医力
第49回 遺伝子などを傷つける活性酸素の怖さ2013年3月18日
・生物に欠かせない大事なもんだが
・がんを発生しやする・OH
・偏食やストレス過多で発生する
中学校の理科で酸化と還元を勉強しましたよね。もう忘れたですって? 還元はともかく酸化は覚えておく価値はあると思いますよ。新明解国語辞典には「(空気中の)酸素と化合すること」とあります。もちろん水中でも構いません。
◆生物に欠かせない大事なもんだが
中学校の理科で酸化と還元を勉強しましたよね。もう忘れたですって? 還元はともかく酸化は覚えておく価値はあると思いますよ。新明解国語辞典には「(空気中の)酸素と化合すること」とあります。もちろん水中でも構いません。
金属などがさびるのは酸素で酸化する現象です。厳密にいうと金属の原子・分子から電子が奪われる反応なのですが、難しいことは適当にして先へ進みましょう。
酸素は物を酸化させる強い力(いわゆる酸化力)を持っていて、体内では酵素反応や白血球の殺菌作用など生理的に重要な役割と深くかかわっています。
酸素なしでは私たちは呼吸機能が働かされず生きることができませんが、それだけでなく生物に欠かせない大事な生理的役割をしていることになります。
ところで酸素というとO2と書くのが普通です。酸素原子は非常に不安定でO一個のまま存在し続けることは困難です。じゃあH2Oは何で酸素一個でずっと水の状態でいられるんだと思った方、私か編集部へお問い合わせください。
◆がんを発生しやする・OH
さて酸素の仲間(活性種)には過酸化水素(H2O2)とかヒドロキシルラジカル(・OH)などというのがあって、これらは非常に不安定な性質をもっています。これが活性酸素と言われるもので、今回の主役です。体内で過剰に発生すると遺伝子(DNA)や細胞を傷つけるので、毒性酸素とも呼ばれています。
なお活性酸素が生み出される過程でフリーラジカルという分子が存在します。活性酸素とフリーラジカル(単にラジカル、あるいは遊離基とも)は厳密には異なりますが、同じ意味で使われることが多いようです。
活性酸素の害が最も注目されるのはがんです。活性酸素が遺伝子を傷つけることで、細胞ががん化して増殖していきます。
最初に因果関係がはっきりしたのは肺がんでした。タバコの煙の中の活性酸素、特にヒドロキシルラジカル(・OH)が遺伝子の鎖を分断し、がんが発生しやすくなることが医学的に明らかになっています。
なお紙タバコのほうが葉巻に比べて危険度が高いのは、紙タバコの煙のほうがアルカリ度が低いために、口の中で吸収されずに肺へ活性酸素がたくさん入っていくからだろうと専門家は想定しています。
煙に限らず活性酸素が体内で増えると、遺伝子、蛋白質、コラーゲン、細胞などを傷つけてさまざまな病気の原因になります。器官、血管、筋肉、皮膚に障害を生じさせてがん、生活習慣病、老化、劣化をもたらしますから、十分、注意する必要があります。
◆偏食やストレス過多で発生する
では活性酸素はどんな状態で生じるのか。
(1)偏った食生活、
(2)紫外線、放射線、化学物質など、
(3)ストレス過多
の三つが問題になります。
まず食生活ですが、肉、特に脂肪が多く野菜、海藻、果物が不足した食生活は活性酸素の危険度が増します。だからバランスの良い食事が重要なのです。
紫外線を浴びすぎると皮膚がんやシミが生じやすいというのも活性酸素の作用ですし、放射線の被爆で白血病やがんになるのも同様です。食品添加物や輸入食料の残留農薬にも気をつけましょう。ストレスは大敵です。
活性酸素の害を防ぐに良いのは良質の蛋白質、不飽和脂肪酸、ビタミンA、C、E、微少ミネラルなど。具体的には緑黄色野菜、海藻、果物、キノコ、青魚、日本茶がお勧めです。
たらこも効果的ですが、魚卵にはビタミンEが多いからでしょう。コーヒーはストレス解消効果で、赤ワインは抗酸化物質のポリフェノールが多いので、ともに活性酸素を減らします(だからといってがぶ飲みはお勧めしませんけれど)。
活性酸素の研究はさらに進むでしょうが、私たち自身の工夫で活性酸素を減らし健康を維持できれば何よりでしょう。
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