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地図情報活用した営農指導を 組合員目線で地域農業を守る(上)2016年11月20日

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東京農業大学前教授・(株)協同経済経営研究所所長鈴木充夫

 規制改革推進会議農業ワーキング・グループは、全農やJAグループを解体を意図したかのような「農協改革に関する意見」を公表した。こうした「農協改革」の本質は何か。これに立ち向かうためにいまもっとも大事なことは、JAの営農指導を徹底し、兼業農家を含めて地域農業を守ることだと鈴木充夫・東京農業大学前教授は考え、それを実行する武器としてシンプルGIS(SGIS)を開発した。そのJAでの活用事例を紹介する。

◆政府「農協改革」では地域は崩壊する

地図情報活用した営農指導を 組合員目線で地域農業を守る(上) 政府の農業・農協改革の基本スタンスは、農協解体と日本農業の解体である。政府は農協を解体し家族経営から株式会社への農業経営が実現すれば、日本農業は輸出産業となり成長すると主張しているが、筆者には農協を潰せば、日本農業が成長産業になるとの論理は「トリック」にしか見えない。「トリック」の一つを示せば、「全農が資材価格を引き下げれば農業所得が増加する」との政府の主張である。

図1 コメの需要・供給曲線


 図1(コメの需要・供給曲線)はこの「トリック」を簡単に説明したものである。
 資材価格の引き下げがオープンになれば、コメの供給曲線はS2からS1へと右下方へシフトする。さらに、平成30年にコメの生産調整を廃止すれば、この政策も供給曲線をS2からS1へ右下方にシフトさせる。一方、1人あたりのコメの消費量から判断すればコメの需要曲線が左上方にシフトするとは考えにくい。つまり、コメの価格は下落する。米価が下落すれば農業所得は増加しない。これでは政府の農業政策を信じ規模拡大した法人も潰れる可能性が高い。こうなれば、政府のメンツは「丸潰れ」である。政府もバカではない。政府は米価が下落しても法人が潰れにくいような政策を準備したのである。
 政府が準備した政策が、「農地中間管理機構による農地集積」、「株式会社の農地取得」、「青色申告者に限定した収入保険制度の法制化」、そして、「農協法改正と農協改革」である。これらの政策は、「何としても法人経営を存続させる」と言う政府の強い意思の表れなのである。やや乱暴な言い方を許してもらえれば、政府は、地域における多くの家族経営などはどうでもよく、「農地」を地域外の株式会社に開放し、株式会社の法人経営だけが生き残れば「問題ナシ」なのである。これが、農協改革と農業改革の本質なのである。
 このようにややヒステリックともいえる政府の農協改革に対し、JAグループに求められていることは、「農協改革の意図と農協の原点を正確に理解し組合員に伝えること」である。
 この3月、JAグループは、政府の「総合的監督指針」のパブリックコメントに対し、コメントを出していない。この「コメントナシ」は、政府から見れば、「JAグループは農協改革を全面的に認めた」ということであり、今後も改革の手を緩めることはない。サイは投げられたのだ。
 今後の農協改革は、公認会計士監査移行にともなう内部統制問題と信連または農林中金への事業譲渡問題、准組合員の事業利用規制問題、および、全農の株式会社化が中心になってくると考えらえる。これらの農協改革への対応策として、JAグループは、全国段階、県段階がそれぞれの組織の生き残りを模索するのではなく、JA自ら、公認会計士監査レビューに耐えられる経営改革を目指すことはもちろんだが、日本農業を現場で支えている組合員が必要とする具体的な営農対策・地域対策を講じることが急務となる。
 組合員目線の対策を打ち出さなければ、何年か後には地域が分断され、地元農家は点としての存在でしかなくなり、地域コミュニティも崩壊に向かってしまう可能性が高い。しかし、現段階では、JAグループは組織存続対策に終始し、農協の原点である地域農業についての具体的な対策を実施していない。JAグループは、現在、農林中金の資金を活用した県レベルの担い手センターの設置、TAC対策の強化などを実施しているが、広域合併と人員削減、および、営農指導員の高齢化により、JAの営農指導員と組合員との距離は離れるばかりである。
 このような状況の中で、役員、担当部課長はTAC職員に対し「現場に行け、組合員と話せ」と指示するだけなのである。組合員の顔も知らない、田圃の場所も分からない職員はどう対応すればよいのだろうか?筆者には、彼らの困惑した顔が浮かぶ。

◆圃場データをSGISで管理

 筆者は「地域農業と地域JAを守ること」は「地域農地を守ること」につながるとの考えで、数年前から文部科学省の競争的研究資金を得て、農協の営農指導員でも圃場毎のデータをパソコンとタブレットで容易に操作できる「地理情報システム(SGIS(シンプルGIS:以下SGISと表記)」と「日々の気象情報配信」を普及してきた。
 SGISはエクセルシートをベースとした地図ソフトで、専用のHPから無料でダウンロードでき、現在、幾つかのJAで、(1)担い手経営体・集落営農・JA出資型法人の農地管理サポート、(2)将来の農業振興計画、(3)JA営農指導事業のコスト削減などに利用されつつある。気象情報は全国のアメダスデータから標高と距離を考慮して1kmメッシュ単位で自動推計したものであり、秋田と新潟のJAに(4)日別気温、降水量、日照時間等を自動配信している。
 この(1)から(3)の地図関連サービスを利用するためは、JAは管内の地図を用意することが必要である。用意する地図はデジタル地図が望ましい。デジタル地図は市町村の再生協議会か県の水土里ネットから入手可能である(農水省は平成29年1月下旬から一筆ポリゴンデータを農業関係行政機関等への提供を開始する予定なので、デジタル地図の入手は容易になると考えられる)。
 現在、SGISを導入している多くのJAでは、これらの行政機関からデジタル地図をシェープファイル形式で入手し、筆者たちがSGIS用に変換するとともに、変換した各ポリゴン(圃場)データとエクセルベースの共済台帳を地名、地番でリンクしている。共済台帳を使用するのは、JAの営農指導で使用しているのは、共済台帳が主だからである。この作成した地図データを、営農指導員が、担い手経営体・集落営農・JA出資型法人毎に切出したり、農地管理のサポート業務等に利用するのである。気象データを利用するためには、筆者たちが提供する1kmメッシュマップから、JA管内の対象地域のメッシュを選択してもらい、JAが希望する時から、日々の気温、降水量、日射量、および、刈り取り適期情報をJA各支店に自動配信している。

地図情報活用した営農指導を 組合員目線で地域農業を守る(下)ー事例

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