放射性セシウム吸収しにくい水稲開発 農研機構ほか2017年6月9日
農研機構と岩手生物工学研究センターはこのほど、放射性セシウムを吸収しにくい水稲の開発に成功したと発表した。この水稲をでは、コメの放射性セシウム濃度が半減した。
2011年3月の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故で、放射性セシウムによる農地土壌の汚染が発生した。除染作業による土壌の復元工事や放射性セシウムの吸収抑制に効果が高いカリ肥料の施用などの対策が行われてきた。このカリ肥料の施用による吸収抑制効果が高く2015年以降は基準値を超えないコメの生産ができるようになった。
今回、新たな放射性セシウム移行低減対策として、コシヒカリを元品種としたイオンビーム照射による突然変異上で、放射性セシウムを吸収しにくい「Cs低吸収コシヒカリ」が開発された。同品種は通常のコシヒカリと比べ放射性セシウム濃度が、玄米でカリ肥料施肥なしで54.7%減、カリ肥料施肥ありでも55.2%減だった。
これは根からのセシウム吸収が抑制されたもの。もともとは塩害などのナトリウム過剰条件で根からナトリウムを排出する役割を担う遺伝子が、セシウムの輸送体を制限する遺伝子の発現が影響をうけ、変異したと考えられる。
またセシウム吸収を抑制する遺伝子を検出できるDNAマーカーを使い、他の品種でも放射性セシウムを吸収しにくい性質を効率的に導入できるようになった。
今後、「Cs低吸収コシヒカリ」の品種登録を出願する予定となっている。
(写真)農研機構提供
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(174)食料・農業・農村基本計画(16)食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する目標2025年12月27日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(91)ビスグアニジン【防除学習帖】第330回2025年12月27日 -
農薬の正しい使い方(64)生化学的選択性【今さら聞けない営農情報】第330回2025年12月27日 -
世界が認めたイタリア料理【イタリア通信】2025年12月27日 -
【特殊報】キュウリ黒点根腐病 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【特殊報】ウメ、モモ、スモモにモモヒメヨコバイ 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【注意報】トマト黄化葉巻病 冬春トマト栽培地域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
【注意報】イチゴにハダニ類 県内全域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
バイオマス発電使った大型植物工場行き詰まり 株式会社サラが民事再生 膨れるコスト、資金調達に課題2025年12月26日 -
農業予算250億円増 2兆2956億円 構造転換予算は倍増2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(1)2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(2)2025年12月26日 -
米卸「鳥取県食」に特別清算命令 競争激化に米価が追い打ち 負債6.5億円2025年12月26日 -
(467)戦略:テロワール化が全てではない...【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月26日 -
【スマート農業の風】(21)スマート農業を家族経営に生かす2025年12月26日 -
JAなめがたしおさい・バイウィルと連携協定を締結 JA三井リース2025年12月26日 -
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」採択 高野冷凍・工場の省エネ対策を支援 JA三井リース2025年12月26日 -
日本の農畜水産物を世界へ 投資先の輸出企業を紹介 アグリビジネス投資育成2025年12月26日 -
石垣島で「生産」と「消費」から窒素負荷を見える化 国際農研×農研機構2025年12月26日 -
【幹部人事および関係会社人事】井関農機(1月1日付)2025年12月26日


































