農業ビッグデータ活用の時代へ WAGRIフォーラムが開催2018年3月13日
「データの力で日本の農業を元気に」を合言葉に昨年8月に設立された農業データ連携基盤協議会(WAGRI)の初のフォーラムが3月12日、東京・三田の慶應義塾大学大ホールで開かれた。
フォーラムには定員680名の席がほぼ全席埋まるほどの来場があり、WAGRIに寄せる関係者たちの期待の高さがうかがえた。
開会の挨拶で神成淳司WAGRI会長は昨年8月の設立以来、民間企業や農研機構、農水省をはじめとする公的機関から、さまざまなデータが提供され、この4月から、会員メンバーにデータを活用できるまでになったことに感謝を表しつつ、提供されたデータをもとにICT企業やメーカーなどが実際の農家などへさまざまなデータやサービスの提供を行うこれからが実質的なスタート地点になるとして「今年が農業ICTの元年となったと言われるようにしたい」と抱負を述べた。そして、このWAGRIを通して、日本の農業の未来を拓き、新しいイノベーションを起こしたいと力強く宣言した。
(写真)満場の来席で埋まった会場
また寺島一男、SIP「次世代農林水産業創造技術」生産システム研究代表は、「WAGRIは一時の運動で終わらせてはならない。データ活用のプラットフォーム機能を維持して、その効果を生産現場に届けるとともに、今後は持続可能的で安定的な運営システムの構築が重要だ」と述べ「(私の所属する)農研機構もWAGRIの運営部隊として、今後とも強力に下支えしていきたいと語った。
来賓の上山隆太、内閣府総合科学技術・イノベーション会議議員は祝辞で、「今後はWAGRIが変化する市場ニーズに的確に対応していくために、生産性向上だけでなく、流通、消費、輸出までデータ連携のさらなる拡張と充実に期待する」と述べた。
続いて、上原宏WAGRI副会長が農業データ連携基盤の概況を説明、複雑な農業知識(ルール)の確立に向けて、農学研究での作物生育モデルと農業ビッグデータエンジニアリングとの融合で複雑な作物発育予測問題を解くことが最大のポイントになると述べた。
(写真)開会挨拶をする神成淳司WAGRI会長(慶應義塾大学環境情報学部准教授)
その後は農業データ連携基盤の活用事例として、6名からの報告が行われた。事例のタイトルと報告者は次の通り。
▽メーカーの壁を越えたトラクター作業データの共有について
(島津秀雄、NECソリューションイノベータ執行役員)
▽ビッグデータ活用による水稲生育予測の効率的な精度向上について
(岡田周平、ビジョンテック鳥取出張所所長)
▽機能向上したICTサービスの生産現場での活用について
(西口修、日立ソリューションズGIS部担当部長)
▽農業データ連携基盤を通じて提供予定のサービスについて
(久住嘉和、NTT研究企画部門プロデュース担当部長、松本健成、EduLab事業開発室マネージャ)
▽生産現場における農業データ連携基盤の活用可能性について
(末澤克彦、WAGRI普及戦略担当ディレクター)
別所智博、農林水産省農林水産技術会議事務局長が閉会のあいさつで「勘や経験から脱却した新しい農業の確立にはWAGRIの果たす役割が大きい」と期待を寄せ、一日も早く農業生産の現場での活用を望むとともに、「オールジャパンの力で日本の農業の新しい未来を築いていこう」と締めくくった。
協議会の概要やメンバーなどの詳細は【WAGRI】農業データ連携基盤協議会から見ることができる。
(関連記事)
・全農が目指す農業ICT(18.02.20)
・【インタビュー・大澤誠農林水産省経営局長】「自ら変わる」発想で農協の新時代を(前編)(18.02.16)
・総合性の強み活かせ【山田貴彦・農水省金融調整課グループリーダー】(17.12.20)
・農業のあらゆる分野をコーディネートするF-TACへ(17.11.22)
・農業データ連携基盤協議会設立セミナー(17.08.23)
・次世代農業へ挑戦を【梶谷 通稔氏】(17.06.28)
重要な記事
最新の記事
-
鳥インフル 米オレゴン州、テネシー州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月6日
-
「秋田県産あきたこまち40周年記念フェア」仙台と銀座の直営飲食店舗で開催 JA全農2024年12月6日
-
野菜の総括 2024年は野菜にとって苦難の年 タキイ種苗2024年12月6日
-
米を選ぶ理由は「おいしいから」63.1%「お米についてのアンケート調査」日本生協連2024年12月6日
-
浜松市・湖西市・JA静岡経済連など6団体合同「#農産物プレゼントキャンペーン」実施2024年12月6日
-
乳幼児から楽しめる「子育てフェス」大宮で開催 パルシステム埼玉2024年12月6日
-
国産農業用ドローン「飛助」シリーズに大容量15Lタンク新モデル登場 マゼックス2024年12月6日
-
高校生とつながる「農業遺産ふーどコンテスト」受賞アイデア決定 農水省2024年12月6日
-
高機能バイオ炭「宙炭」のTOWING メキシコで土壌改良の実証実験開始2024年12月6日
-
期間限定の特別な柿の種「タネビッツ ヘーゼルナッツチョコ」新発売 亀田製菓2024年12月6日
-
スマホでシンプル「イチゴ収量予測ツール」 販売開始 ナイルワークス2024年12月6日
-
クラス最速の開閉スピードと軽量ボディ「充電式剪定ばさみ」新発売 京セラ2024年12月6日
-
「第4回全国みかん選手権」最高金賞は熊本市の宮本果樹園「肥のあすか」日本野菜ソムリエ協会2024年12月6日
-
「コメリハード&グリーン須坂店」12月19日に新規開店2024年12月6日
-
「ウェザーニュース for business」大雪対策コンテンツを提供開始2024年12月6日
-
改正「食料・農業・農村基本法」成立 適正価格形成など5大ニュース発表 山野JA全中会長2024年12月5日
-
組合員が働く協同組合で課題解決を ワーカーズコープ連合会の古村伸宏理事長が講演 JA全中のアカデミー①2024年12月5日
-
組合員が働く協同組合で課題解決を ワーカーズコープ連合会の古村伸宏理事長が講演 JA全中のアカデミー②2024年12月5日
-
防げるか?エッグショック再来 クリスマス前、走る緊張 コスト増で産地苦悩2024年12月5日
-
農の日常とやすらぎ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第319回2024年12月5日