ナスに単為結果性もたらす仕組みを解明 タキイ種苗×農研機構2020年10月27日
タキイ種苗と農研機構は、受粉しなくても果実が肥大する単為結果という現象がナスで起こる仕組みを解明。2015年に特許を出願し、2017年に登録され、その成果が6月9日発行の科学誌「米国科学アカデミー紀要」に掲載された。
通常ナスとの比較

単為結果性を示すpad-1変異体では、細胞分裂や肥大に関与するオーキシンの蓄積を抑える酵素の機能が失われる。言い換えると、「オーキシンが蓄積される」ことにより、果実が肥大することが明らかになった。同成果は、着果促進剤処理が不要で高温などでも安定して果実を生産する単為結果性品種の育成に役立つ。
ナスやトマトなどのナス科果菜類の栽培では、気温が高くなる夏場や日照不足になりやすい冬場に受粉や果実の肥大が妨げられ、収量が低下する。これを防ぐため、栽培時には着果促進剤が使用されるが、その処理作業には大きな労力がかかる。一方、植物には受粉しなくても果実が大きくなる単為結果性という性質を持つものがあり、これらを利用することは省力化や生産安定化のために有用。これまでに単為結果性を示す果菜類はいくつか見つかっているが、そのメカニズムの理解は進んでおらず、単為結果性品種の育成が進みにくい一因となっていた。
今回、農研機構とタキイ種苗の研究グループは、単為結果性を示すpad-1変異体を解析し、単為結果が起こる仕組みを明らかにした。通常、単為結果しないナスでは、受粉するまでは子房内の植物ホルモンのオーキシン量が低い状態に保たれているが、受粉後に増加し、その作用で果実が肥大する。pad-1変異体では、受粉前の子房のオーキシンの増加を抑える酵素の機能が失われており、受粉していない状態で高濃度のオーキシンが蓄積し、果実が肥大することが明らかになった。
この研究成果を利用して、タキイ種苗は、単為結果性のナス品種「PC筑陽(ピーシーちくよう)」を育成。着果促進剤を使用しなくても通常の品種と同等の収量を示し、省力化や生産の安定化につながることから、現在普及が進んでいる。
単為結果性品種の利用拡大は、昨今の地球温暖化の急速な進行により懸念されている、果実生産に及ぼす悪影響を回避する有効な方法として期待される。
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