土壌動物の多くは落葉分解者として機能していない 定説覆す発見 森林総合研究所2021年11月9日
森林研究・整備機構森林総合研究所と総合地球環境学研究所、大阪府立環境農林水産総合研究所の研究グループは、森林などの陸域生態系で優占するトビムシをはじめとする土壌動物の多くの分類群が、落葉など枯死有機物の分解者として機能しているわけではないことを明らかにした。
様々なトビムシの光学顕微鏡写真
植物が光合成によって作り出した葉などの組織は、枯死して地面に落下した後、土壌微生物や土壌動物の摂食活動により分解されると考えられている。しかし、実際に土壌に住む微小な生物の餌源を特定することが困難なため、土壌動物が分解者として本当に機能しているかどうかは検証が不十分だった。
そこで同研究グループは、放射性炭素同位体(14C)分析により微小な土壌動物の餌炭素年齢を世界で初めて測定。その結果、土壌食物網の下位栄養段階、つまり食物網の起点付近に位置するトビムシが、枯死有機物より新しい光合成されて間もない炭素を食べていることを明らかにした。また、炭素・窒素安定同位体比の分析結果もあわせると、多くのトビムシが菌根菌の摂食によって新しい炭素を得ていることが推察された。
さらに、クモなど捕食者の体も、枯死有機物よりも新しい炭素からできていることがわかり、トビムシの食性が土壌食物網全体に強く影響していることがわかった。これらの成果は、枯れ葉などの枯死有機物が土壌食物網を通って分解されていくという従来の定説を覆す発見といえる。
同研究成果は9月22日、Biology Letters誌でオンライン公開された。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(125) -改正食料・農業・農村基本法(11)-2025年1月18日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (42) 【防除学習帖】第281回2025年1月18日
-
農薬の正しい使い方(15)【今さら聞けない営農情報】第281回2025年1月18日
-
イタリアはラーメンブーム【イタリア通信】2025年1月18日
-
「一揆は対立ではなく連携へののろし」 この機逃せば農村消える 山形県の農家・菅野芳秀さん2025年1月17日
-
鳥インフルエンザ続発 愛知で国内30例目、千葉で31例目2025年1月17日
-
米の作況指数 「農水省発表マイナス5が新潟の実感」 新潟大・伊藤助教が指摘2025年1月17日
-
鳥インフル 米デラウェア州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月17日
-
令和6年度スマート農業アクセラレーションサミット開催 JA全農2025年1月17日
-
(418)日本初のグローバル化の功罪【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年1月17日
-
【JAトップ提言2025】有機農業で次代に活路 JA常陸組合長 秋山豊氏2025年1月17日
-
【JAトップ提言2025】環境と農業の両立に的 JA秋田中央会会長 小松忠彦氏2025年1月17日
-
生産者にZ‐GIS活用講習会 JA全農2025年1月17日
-
JA広報大賞 JAふくしま未来に決定 JA全中2025年1月17日
-
農業界特化就活フェア「あぐりナビ就活FES.」東京、大阪で開催 アグリメディア2025年1月17日
-
「2024年度 GAPシンポジウム」開催 日本生産者GAP協会2025年1月17日
-
適用拡大情報 殺虫剤「ベリマークSC」 FMC2025年1月17日
-
適用拡大情報 殺虫剤「ベネビアOD」 FMC2025年1月17日
-
日本生協連「くらしと生協」包丁研ぎの魅力を伝えるアニメ動画を公開2025年1月17日
-
東大阪農業PR大使・シャンプーハットてつじ密着取材「ピカッと東大阪」で公開2025年1月17日