プリムラ、イチゴにチバクロバネキノコバエ発生 多摩地域で確認 東京都2022年3月8日
東京都病害虫防除所は、チバクロバネキノコバエの発生を多摩地域で確認。これを受け、3月2日に病害虫発生予察特殊報第4号を発令した。
左から、チバクロバネキノコバエ成虫(上:雌 下:雄)、チバクロバネキノコバエ幼虫(写真提供:東京都病害虫防除所)
1月に東京都多摩地域のプリムラで、新葉が褐変、腐敗した株を確認。また、多摩地域の別ほ場のイチゴで、生育不良株を確認した。プリムラの新葉とイチゴの地際部にはハエ目幼虫が寄生していた。幼虫を飼育したところ、クロバネキノコバエ類の成虫が羽化。採取した成虫の同定を横浜植物防疫所に依頼した結果、チバクロバネキノコバエと判明した。
海外では中国、東南アジア、アメリカ、ヨーロッパ、中南米、オーストラリア等で発生が報告されている。国内では、愛知県、京都府、静岡県、栃木県、三重県、岩手県、長野県、神奈川県、和歌山県、長崎県、佐賀県、香川県、茨城県、大分県、鹿児島県、福島県、秋田県の17府県で農業被害が確認。特殊報などの発表や学会で報告されている。
成虫の体長は雌成虫が 1.9~2.3ミリ、雄成虫が 1.8~2.1ミリで、体色は頭部が黒色、胸部と腹部が暗褐色、翅は褐色を帯びた透明。老齢幼虫の体長は約4ミリで、頭部は光沢のある黒色、胴部は白色を帯びた透明。
従来チビクロバネキノコバエ(B. agrestis)およびチバクロバネキノコバエ(B.difformis)とされていたものは、最近の分類学的研究により、Bradysia impatiens Johannsen(和名:チバクロバネキノコバエ)に整理された。
成虫は未熟な有機物に誘引されて産卵し、孵化した幼虫がそれらを摂食する。同種は、20~25℃の環境下で約15日間で1世代を経過し、施設栽培では周年発生する。
被害は、根や地際部に大量発生した幼虫が寄生して食害することにより、生育不良、新葉の褐変、地際部の腐敗等を生じる。他県ではイチゴの葉や果房の食害、株の萎凋等の事例も報告されている。寄主範囲が広く、プリムラやイチゴの他に、スイカ、メロン、キュウリ、カボチャ、サトイモ(エビイモ)、ショウガ、ネギ、花き類数種でも被害が確認されている。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇同種の発生を確認したら、クロバネキノコバエ類もしくはチバクロバネキノコバエ(一部の農薬では「チビクロバネキノコバエ」という名称で記載)に登録のある農薬を使用する。
〇被害株は速やかにほ場から除去し、適切に処分する。
〇培養土は消毒された清浄なものを使用する。
〇未熟な堆肥や有機物を多用すると同種の発生を助長するため、施用量に注意し、施用する場合は完熟したものを使用する。
〇土壌が常に多湿だと本種の発生を助長するため、適切な水分管理に努める。
〇ほ場周辺に植物残さが放置されていると、本種の発生源となるため、ほ場周辺の衛生管理を徹底する。
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