【特殊報】ニラにフシダニ科のダニ 県内のほ場で発生 高知県2023年12月25日
高知県病害虫防除所は、ニラにフシダニ科の一種(Aceria sp.)の発生を県内で確認。これを受けて、12月22日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第3号を発令した。
写真1:葉縁部の症状(写真提供:高知県病害虫防除所)
高知県病害虫防除所によると、11月に高知県南国市の施設ニラほ場で、ニラの葉に水疱症状や葉身の一部が湾曲する被害が発生(写真1、2)。被害株を観察すると、被害部位や葉鞘部にフシダニ科のダニの寄生が見られた(写真3、4)。採集したダニを農林水産省神戸植物防疫所に同定依頼したところ、フシダニ科Aceria属に属するダニであることが判明。しかし、ネギ属植物等への寄生が報告されているチューリップサビダニ(Aceria tulipae(Keifer))とは外部形態が異なり、別種であることが確認された。
写真2:葉身の被害(写真提供:高知県病害虫防除所)
なお、発生を確認したほ場は6月に自家育苗の苗を定植、10月20日に1回目の刈り取りを実施しており、再生した葉で11月上旬にカスリ葉や葉の湾曲等の被害および本虫の寄生が確認された。12月中旬までに、同市内の施設ニラほ場および香美市の施設ニラほ場でもこの虫の寄生および同様の被害が確認されている。
高知県で発生したフシダニ類と同一種であるかは不明だが、9月に栃木県からニラを加害するフシダニ科の一種Aceria属に属するダニであるものの既知種とは異なるの発生が報告されている。
写真3:ニラ葉(基部)に寄生するフシダニ類(写真提供:高知県病害虫防除所)
成虫は体長約0.2ミリ程度で白色または淡黄色、半透明のうじむし型で、肉眼での観察は難しい。同種は、フシダニ科Aceria属に属するダニのうち、国内のネギ属植物への寄生が確認されているチューリップサビダニとは外部形態が異なる別種で、新種の可能性もあるため生態は不明。
葉縁や葉身に光沢を伴う水疱状の突起が形成されており、被害部位に触ると凸凹の隆起が確認できる。症状が進むと葉が湾曲、奇形化する。主に葉鞘部や葉の基部に寄生が見られることから、葉鞘部付近で発生した被害が葉の伸長に伴い上部に進展したと考えられる。
写真4:フシダニ類成虫(写真提供:高知県県病害虫防除所)
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇12月現在、同種に登録のある農薬はないため、被害が確認されたら速やかに株ごと除去する。掘り取った株は肥料袋等に入れて一定期間密封し株を腐敗させた後に埋却するなど、完全に殺虫してから処分する。
〇発生ほ場では、管理作業中に手や農機具などに付着して移動するおそれがあるため、作業後しっかり洗浄する。
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