オートファジーが種子の発芽能力を維持することを解明 明大農学部2024年4月2日
明治大学農学部生命科学科の吉本光希教授らの研究グループは、保存中の乾燥種子において細胞内自己成分分解システム「オートファジー」が機能することで、長期間の保存後でも発芽能力が維持されることを明らかにした。
種子は、いわば「鎧」の役割を持つ種皮で覆われ、胚を物理的に保護したり、抗酸化物質を蓄えたりすることで、保存期間中に受けるストレスを回避している。種皮は死細胞で構成されるが、長期間の保存の後に発芽するには、保存期間中に継続して受け続けるストレスに適宜応答するシステムも存在する可能性が考えられる。
植物細胞におけるオートファジーの過程
同報告では、種皮の内側に存在し、乾燥種子の胚を取り囲む生細胞である胚乳細胞において、オートファジーが働き、酸化ストレスおよび細胞死を抑制することで、長期間の保存の後でも発芽能力が維持されることを明らかにした。
この報告は、一見静的にみられる乾燥種子においても、細胞内の膜ダイナミクスを介する分解系であるオートファジーが駆動していることを明らかにした点と、長期保存した老化種子において損傷胚乳が物理的障壁となって発芽が抑制されることを解明した点に意義がある。また、この知見は、発芽能力を保ったまま種子を長期間保存するための新規技術の開発に繋がると期待される。
同成果は、米国科学アカデミーが発行する総合科学雑誌『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)』に掲載された。また、同研究の一部は、日本学術振興会科学研究費新学術領域研究(研究領域提案型)(19H05713)および特別研究員奨励費(21J11995)の支援を受けて行われた。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(140)-改正食料・農業・農村基本法(26)-2025年5月3日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(57)【防除学習帖】第296回2025年5月3日
-
農薬の正しい使い方(30)【今さら聞けない営農情報】第296回2025年5月3日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「盗人に追い銭」「鴨葱」外交の生贄にしてはならぬ農産物2025年5月2日
-
【2025国際協同組合年】情報を共有 協同の力で国際協力 連続シンポスタート2025年5月2日
-
イネカメムシが越冬 埼玉、群馬、栃木で確認 被害多発の恐れ2025年5月2日
-
九州和牛をシンガポール人に人気のお土産に 福岡空港で検疫代行サービスを開始 福岡ソノリク2025年5月2日
-
就労継続支援B型事業所を開設し農福連携に挑戦 有機農家とも業務提携 ハピネス2025年5月2日
-
宮崎ガス「カーボン・オフセット都市ガス」 を県庁などに供給開始 農林中金が媒介2025年5月2日
-
5月29日から「丸の内 日本ワインWeeks2025」開催 "日本ワイン"を学び、楽しむ3週間 三菱地所2025年5月2日
-
協同心の泉 大切に 創立記念式典 家の光協会2025年5月2日
-
【スマート農業の風】(14)スマート農業のハードルを下げる2025年5月2日
-
(433)「エルダースピーク」実体験【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年5月2日
-
約1cm程度の害虫を強力捕獲「吊るしてGET虫ミニ強力タイプ」新発売 平城商事2025年5月2日
-
農中情報システム 自社の導入・活用のノウハウを活かし「Box」通じたDX支援開始2025年5月2日
-
洗車を楽しく「CRUZARD」洗車仕様ホースリールとノズルを発売 コメリ2025年5月2日
-
戦後80年の国際協同組合年 世代超え「戦争と平和」考える パルシステム神奈川2025年5月2日
-
生協の「地域見守り協定」締結数 全市区町村数の75%超の1308市区町村に到達2025年5月2日
-
ムコ多糖症ニホンザルの臨床徴候改善に成功 組換えカイコと糖鎖改変技術による新型酵素2025年5月2日
-
エフピコ×Aコープ「エコトレー」など積極使用で「ストアtoストア」協働を拡大2025年5月2日