【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2024年8月2日
兵庫県病害虫防除所は、水稲に斑点米カメムシ類(イネカメムシ、ミナミアオカメムシ、クモヘリカメムシ等)が県内全域で多発のおそれがあるとして、8月2日に令和6年度病害虫発生予察注意報第2号を発表した。
兵庫県病害虫防除所によると、7月下旬に実施した水稲巡回調査(23地点)において、すくい取り調査による斑点米カメムシ類の発生地点率が73.9%と、昨年の同時期(地点率50.0%)と比較して高く、県内で広く発生が確認されている。
写真1:予察灯での誘殺が多い大型斑点米カメムシ類(各写真の右下は幼虫)(提供:兵庫県病害虫防除所)
加西市と朝来市の予察灯では、大型斑点米カメムシ類(イネカメムシ、ミナミアオカメムシ、クモヘリカメムシ、写真1)の誘殺数が平年を大きく上回っている。イネカメムシの7月の合計誘殺数は、加西市で126頭(過去8か年平均2.4頭)、朝来市で15頭(過去8か年平均1.1頭)となり、過去8か年の誘殺数と比較して最も多い。
また、加西市ではミナミアオカメムシの7月の合計誘殺数が105頭(過去10か年平均9.4頭)、クモヘリカメムシが7頭(過去10か年平均0.5頭)となり、いずれも過去10か年の誘殺数と比較して最も多い。
7月上旬から中旬にかけて、県下各地の水田で出穂の有無にかかわらずイネカメムシの発生が確認。特に、地域内で出穂が早い水田では本種が多発し、成虫が穂を加害する様子や次世代幼虫の発生が確認されている。また、ヒエ等の雑草が水田内や畦畔に繁茂している地点では、イネの出穂前でも7月下旬に幼虫の発生が確認されている。
写真2:斑点米カメムシ類による斑点米被害
(左)イネカメムシによる斑点米被害。籾の基部を加害することが特徴。
(右)イネカメムシ以外の斑点米カメムシ類による斑点米被害。(提供:兵庫県病害虫防除所)
気象予報によると、今後1か月の気温は高く推移すると予想されており、出穂期以降の水田では、斑点米カメムシ類の加害(写真2)および繁殖に好適な条件になると考えられる。
イネカメムシは出穂期の稲穂に強い選好性があるため、出穂に合わせて水田に侵入する。地域内の出穂が早い水田で同種が多発している場合は、今後、隣接する出穂が遅い水田でも同種が多発し、穂を加害する可能性が高いと考えられる。
左・写真3:出穂期のイネに多発するイネカメムシ
右・写真4:イネカメムシによる不稔被害(青立ち)(提供:兵庫県病害虫防除所)
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇畦畔や休耕田のイネ科雑草は、斑点米カメムシ類を誘引し、増殖源となるため、適切な除草管理を行う。なお、出穂直前に畦畔の管理作業を行うと同種を本田内に追い込むことになるため、出穂の2週間以上前に雑草管理を行う。また、水田内のヒエ等の雑草についても同種の誘引源となるため、速やかに除去する。
〇斑点米カメムシ類の薬剤防除は、穂揃期から乳熟期にかけて行い、その後も発生が多い場合は7~10日間隔で1~2回の追加防除を行う。なお、粒剤を施用する場合は、防除効果が得られるまでに日数がかかることを考慮する。
〇イネカメムシは他の斑点米カメムシ類と異なり、出穂直後から穂を加害して不稔穂を発生させる(写真3、4)など収量への影響が大きいため、出穂期に水田内で発生が見られる場合は薬剤防除を検討する。同種の防除は、出穂期とその7~10日後の2回防除が不稔と斑点米の被害抑制に効果的。
〇イネカメムシについては、周辺より出穂が早い、または遅い水田では集中して被害を受けやすいため、適切な防除を行う。また、同種は夜行性で、数日のうちに水田へ大量に侵入することがあるため、発生状況には十分注意する。
〇ミナミアオカメムシは広食性であるため、水田だけでなく、周辺のダイズや野菜類圃場にも発生する可能性があるため、発生状況に注意する。
〇薬剤散布を行う場合は、農作物病害虫・雑草防除指導指針等を参考に薬剤を選定し、農薬使用基準を守る。
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