【注意報】果樹、果菜類に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2024年8月19日
兵庫県病害虫防除所は、ナシ、モモ、カンキツ、ブドウ、カキなど果樹類と果菜類(ピーマン等)に果樹カメムシ類(チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシ)が県内全域で多発のおそれがあるとして、8月13日に令和6年度病害虫発生予察注意報第3号を発表した。
一般的に果樹カメムシ類(写真1)の発生量には隔年性があり、今年は発生の多い表年に該当する。今年は春期から発生量が多く、兵庫県病害虫防除所は、発生予察注意報第1号(5月2日発表)、発生予察防除情報第3号(5月28日発表)および同防除情報第5号(7月12日発表)で注意喚起してきた。

写真1:果樹カメムシ類成虫(左からチャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシ)
(提供:兵庫県)
その後もフェロモントラップにおいて、表年の平均を上回る誘殺が認められている。チャバネアオカメムシの7月~8月1半旬の合計誘殺数は、加西市で7252頭(表年の過去5年平均279頭)、朝来市で1万4165頭(表年の過去5年平均648頭)と、著しく多い状況にある(図)。

図:フェロモントラップにおけるチャバネアオカメムシ誘殺数の推移
予察灯(加西市、朝来市、南あわじ市)においても、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシの7月の合計誘殺数は、いずれの地点においても、表年の平均を大きく上回っている(表)。

表:予察灯における果樹カメムシ類の7月の合計誘殺数
8月上旬時点で、一部のナシ園、モモ園、カンキツ園において、果樹カメムシ類による果実被害が認められている(写真2)。また、果樹類のみならず、果菜類(ピーマン等)においても加害事例を認めている。

写真2:果樹カメムシ類によるナシの果実被害。吸汁を受けた幼果(左)、吸汁を受けた幼果の断面※スポンジ状になり変色(中)、収穫時の果実被害(右)(提供:兵庫県)
卵巣の発達状況から、現在、主に第1世代成虫が盛んに園地に飛来していると推察され、8月下旬までは本世代が果樹園へ多飛来する恐れがある。9月以降、第2世代も入り交じって園地に飛来し、発生が長期化する可能性がある。
大阪管区気象台が8月1日に発表した向こう1か月の近畿地方の気象予報では、気温が平年より高く推移するとされており、カメムシ類の活動に好適な条件が続くと予想される。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇ナシ、モモ等の有袋栽培では、袋をかけていても、果実が肥大して袋に密着すると外部から吸汁される場合がある。多発時には思いがけず被害果(写真2)が増えるおそれがあるため、袋かけ後も収穫期まで油断せず、発生状況に注意する。
〇カンキツ園で果樹カメムシ類が多発生すると、落果や異常な着色をしている果実が園地内に多く見られるようになる。温州では特に極早生・早生品種で被害が発生しやすく、園地内にそのような品種が混在していると被害が多くなる傾向がある。
〇今年は特に果樹カメムシ類の発生量が多く、例年であれば被害が発生することが少ないピーマン等の果菜類においても被害が発生している(写真3)。今後もピーマン、トマト、スイートコーン等の果菜類の栽培圃場において被害が発生するおそれがあるため、各園地での発生状況に注意する。
〇樹園への飛来量や飛来時期は、周辺環境の影響を大きく受けるため、地域や園地によって異なる。各園地で見回りを実施し、発生を認めたら速やかに薬剤防除を行う。
〇果樹カメムシ類は夜間を中心に活動するため、薬剤散布は夕方に行うと効果が高い。また、移動性が高いため、薬剤散布は広域的に一斉に実施し、地域全体の密度を下げることが望ましい。
〇薬剤散布を行う場合は、農作物病害虫・雑草防除指導指針等を参考に薬剤を選定し農薬使用基準を守る。なお、合成ピレスロイド剤は効果が高く残効も期待できるが、天敵昆虫に対する影響が強く、ハダニ類など他害虫を誘発するおそれがあるため、使用にあたっては他の害虫の発生状況も十分に考慮する。
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