サバクトビバッタの産卵行動を解明 オスが「日傘」となり産卵を保護 国際農研2024年9月25日
国際農研は、モーリタニア国立サバクトビバッタ防除センターと共同で、厳しい高温の過酷な砂漠環境における、サバクトビバッタ成虫の日中の産卵行動を明らかにした。
図1:野外におけるサバクトビバッタの産卵行動
(a) 日中、致死温度を超える高温の地表にて産卵するペア。
(b) サーモグラフィ画像(矢印の先は産卵中のペア)
サハラ砂漠で野外調査を行った結果、多くのバッタの成虫は、夜間に集団産卵していたが、一部のメスは産卵が遅れ、ほとんどの動物が活動を避ける日中の致死温度(50℃以上)に迫る地表で産卵していた。高温下では多くの産卵中のメスの背中にオスが乗っており、サーモグラフィカメラを用いてバッタの体表を測定したところ、地表より低い体温を保っていた。
図2:産卵中のサバクトビバッタの体温
実験的に固定したバッタを日向にさらし、体温をセンサーで直接測定したところ、シングルのメスの体温は高温になるが、ペアのメスは体温を低く保つことがわかった。これにより、メスの背中に乗っているオスが「日傘」のように機能し、高温状態を避けて産卵していると考えられた。
バッタは生理的に高い高温耐性(約55℃)をもつことに加え、オスが「日傘」のように機能することで、ほとんどの動物が高温のため活動できない時間帯に産卵していることが示唆された。
防除上の観点では、集団産卵中のペアはその場に数時間留まるため、農薬散布の効率性が高まる。こうしたバッタの生態を応用することで必要以上に農薬を使わない、環境や健康に配慮した防除に結び付くことが期待される。
同研究成果は9月15日、『Ecology』電子版(日本時間に掲載された。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】水稲の斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 山口県2025年7月8日
-
なぜ米がないのか? なぜ誰も怒らないのか? 令和の米騒動を考える2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【立憲民主党】「食農支払」で農地と農業者を守る 野田佳彦代表2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【自由民主党】別枠予算で農業を成長産業に 宮下一郎総合農林政策調査会長2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【日本共産党】価格保障・所得補償で家族農業守る 田村貴昭衆議院議員2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【れいわ新選組】農業予算倍増で所得補償・備蓄増を やはた愛議員2025年7月8日
-
【第46回農協人文化賞】集落と農地 地域の要 営農事業部門・広島市農協組合長、広島県農協中央会会長 吉川清二氏2025年7月8日
-
【第46回農協人文化賞】若者を育てる農協に 営農事業部門・北海道農協中央会前会長、常呂町農協前会長 小野寺俊幸氏2025年7月8日
-
小泉農相 随契米放出に「政策効果」 市場落ち着けば備蓄水準戻す2025年7月8日
-
トランプ政権の移民摘発 収穫できず腐る野菜「農家に大きな打撃」2025年7月8日
-
【第46回農協人文化賞】常に農協、農家のため 営農事業部門・全農鳥取県本部上席主管 尾崎博章氏2025年7月8日
-
150年間受渡し不履行がなかった堂島米市場【熊野孝文・米マーケット情報】2025年7月8日
-
2025参院選・各党の農政公約まとめ2025年7月8日
-
米価 6週連続低下 3600円台に2025年7月8日
-
【JA人事】JA秋田しんせい(秋田県)佐藤茂良組合長を再任(6月27日)2025年7月8日
-
【JA人事】JA北九(福岡県) 新組合長に織田孝文氏(6月27日)2025年7月8日
-
【JA人事】JAかながわ西湘(神奈川県)天野信一組合長を再任(6月26日)2025年7月8日
-
【JA人事】JAえひめ中央(愛媛県)新理事長に武市佳久氏(6月24日)2025年7月8日
-
宇都宮市に刈払機を寄贈 みずほの自然の森公園へ感謝と地域貢献の一環 JA全農とちぎ2025年7月8日
-
岡山の農業を楽しく学ぶ 夏休み特別企画「食の学校2025」 JA全農おかやま2025年7月8日