原生生物Glissandraを再発見 未解明系統CRuMsに共通する特徴を解明2025年6月5日
筑波大学と農研機構の研究グループは、パラオ共和国の海水湖で採集されたサンプルから、真核生物の系統の一つCRuMs(クルムス)に属する新種の単細胞生物を発見し「Glissandra oviformis」と命名した。また、この生物の構造を電子顕微鏡で観察したところ、CRuMsに属する他の生物と共通する形態的な特徴が明らかになった。
Glissandra oviformisの光学顕微鏡写真。
2本の鞭毛を持ち、前方(左側)に伸びる鞭毛の先端を前後に振りながら滑走運動を行う
原生生物(動物・陸上植物・菌類を除く真核生物)は、真核生物の系統樹の大部分を構成しているため、真核生物の進化を理解する上で、それらの多様性の解明は重要な鍵となるが、微小であることや培養の難しさから、その理解は依然として不十分といえる。
同研究では、パラオ共和国の海水湖で採取された海藻表面のサンプルから、原生生物の培養株を確立した。顕微鏡観察の結果、この生物は、その存在は知られているものの、これまで系統的位置が不明となっていたGlissandra属の新種であることが分かり、これを「Glissandra oviformis(G. oviformis)」と命名した。
Glissandra oviformisの透過型電子顕微鏡写真
340個のタンパク質配列に基づく大規模分子系統解析により、G. oviformisは真核生物の主要な系統の一つであるCRuMs(クルムス)の新規系統であることが明らかになった。CRuMsは形態的に多様な原生生物から構成されており、共通する特徴はこれまで不明だった。
CRuMs内部での形態形質の進化を明らかにするため、G. oviformisについて電子顕微鏡観察を行ったところ、細胞膜を裏打ちする膜状の構造や鞭毛の根本の構造がCRuMsに属する他の生物と共通していることが分かった。
同研究により、CRuMsを構成している原生生物の間に、共通の形態的特徴があることが示された。このように、系統樹の中での位置付けが不明なままになっている原生生物を、環境中から再発見し、培養株を確立して詳細に調べることは、真核生物の進化を理解するための重要な手法であると考えられる。
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