「アイガモロボ」の改良と全国展開へ 除草作業8割削減めざし、農研機構らが新事業を始動2025年7月23日
農研機構を代表とする「スマ農アイガモロボコンソーシアム」は、水稲有機栽培の省力化と面積拡大を目指し、除草支援ロボット「アイガモロボ®」の改良と技術体系化を進める新事業を開始した。全国11県30経営体と連携し、除草作業時間の8割削減を目標とする。
スマート農業技術の開発・供給に関する事業の体制
農研機構(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)を中心とした「スマ農アイガモロボコンソーシアム」は、2025年7月より、水稲有機栽培における除草作業の大幅な省力化と技術の普及拡大を目指す「スマート農業技術の開発・供給に関する事業(スマ農開発・供給事業)」を開始した。
同事業では、水田用自動抑草ロボット「アイガモロボ」の改良版「IGAM2(アイガムツー)」を核に、栽培管理支援システムや自動水管理装置と連携させた技術体系の構築を進める。全国11県の30経営体と連携し、様々な現場条件下でその実効性を検証する。
本事業における課題への取り組み
◎省力・軽労化を後押しする新たな取組み
水稲の有機栽培は、除草に要する労力が通常栽培に比べて大きく、普及拡大の最大の壁とされてきた。政府が掲げる「みどりの食料システム戦略」では、2050年までに有機農業の取組面積を100万haに拡大する目標が示されており、水稲の有機栽培推進は喫緊の課題である。そうした中、2025年3月に販売されたIGAM2は、従来モデルに比べて軽量・低価格化を実現。狭小・不整形な中山間地の水田にも導入しやすくなった。しかし、全国的な普及には土壌条件やほ場環境に対応したさらなるブラシ改良や技術指導が求められていた。
◎コンソーシアムによる体制強化と普及展開
同事業には、農研機構のほか、株式会社NEWGREEN、井関農機株式会社、BASFジャパン株式会社、JA三井リース株式会社、さらに新潟県・長野県・島根県の農業試験研究機関が参画。加えて、有機米生産に取り組む11県30経営体も協力機関として参画している。研究・製造・行政・現場が一体となることで、ロボット改良と並行して栽培技術の体系化、導入現場への普及モデル構築を進め、除草作業時間を従来比8割削減することを目指す。また、AIやIoTを活用した自動水管理やデータ連携も進め、今後は有機栽培の労力軽減・安定多収化の両立を図る新たな技術モデルとして期待されている。
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