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地方創生を蝕むコンサルと限界自治体 横山勲『過疎ビジネス』の問いかけ2025年7月23日

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地方創生には深い闇がある。横山勲氏の新著『過疎ビジネス』(集英社新書)は、地方創生を内部から喰い荒らす動きを告発した調査報道の結晶だ。福島県北端の町で起きた事例は、多くの市町村にとって他人事ではない。

過疎ビジネス

過疎ビジネスと丸投げ自治体

福島県国見町は果樹栽培が盛んな小さな町だ。この町で2022年、企業版ふるさと納税4.3億円を原資に、高規格救急車を12台買って他の自治体にリースするという一風変わった「地方創生事業」が始まった。

東北のブロック紙「河北新報」の横山勲記者はこの事業に疑問を抱き、掘り下げて取材した。その結果、過疎自治体に取り入り公金を食い物にする「過疎ビジネス」と、重要事業をコンサルや企業に丸投げする自治体という、「地方創生の不都合な真実」を世に問うた。

寄付金が膨らんで還流するカラクリ
横山氏らの調査報道は町議会による百条委員会設置や国会質問につながり、2024年11月、企業版ふるさと納税を所管する内閣府が寄付計画の認定を取り消した。

企業が地方自治体に寄付をする「企業版ふるさと納税」では、寄付額の最大9割が税額控除される。国見町では、DMM.comグループが4.3億円を町に寄付したが、実質負担はその1割に過ぎない。この寄付を原資に、DMM.comグループ傘下の救急車ベンチャー「ベルリング」は、宮城県の会社「ワンテーブル」と組んで「救急車の研究開発」を受注した。ベルリングが確実に受注できるよう、ワンテーブルが関与して「仕様書」が巧みに作られ、寄付金がDMM.comグループ側に還流する仕組みになっていた。

高規格救急車は町内ではまったく使われない。救急車リースの収益も企業が吸い上げる。国見町民には何のメリットもなく、国の制度と過疎自治体が金儲けの手段にされたと言わざるを得ない。

治体を喰うコンサルの本音
本書の白眉は、このスキームを考案したワンテーブル社長のあけすけな本音の音源を入手し、特報している点にある。社長は「田舎の自治体」で2年がかりで「仕込み」「浸食し」「仕様書を変えて」仕事を取ると語る。

「無視されちゃうちっちゃい自治体がいいんですよ」「(地方議員は)雑魚だから」――社長のこうした放言は、読者の怒りを誘うだろう。その対極で、「雑魚」と呼ばれた町議たちの地道な努力や、心ある職員による公益通報が、希望の光として心を揺さぶる。

地域で生きる喜びは
国見町だけではない。東京から来たコンサルに課題解決を丸投げする「地方創生」では、失敗の山が築かれている。本書の問いかけは苦く、目を背けたくなる現実を突きつける。しかしだからこそ、こうした動きに抗うには、「これこそが地域で生きる喜びだと言える行動と営みを、自分の胸に手を当てて考え、繰り返し問い直すこと」(エピローグ)が、いま、ますます大切になってくる。解決の糸口も、未来への希望も、現場にこそあるのだから。

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