栽培技術:現場の課題解決へ 注目のパートナー
【課題解決へ 注目のパートナー④】水田の水管理 スマホで自在 farmo③ 現場はアイデアの宝庫2023年12月25日
スマホ一つで点在する水田の水管理ができる機器を開発したfarmoの永井洋志代表取締役にインタビューした。
――今後、農業課題の解決に向けてはどんな取り組みが必要だと思いますか。
農業にとっては現場の状況の「見える化」がファーストステップになると思います。状況が分からないので経験や勘に頼ることになる。そこを見える化すると行動が変わっていきます。
たとえば、最近では「フィールドショット」という仕組みを開発しました。ほ場に小型カメラを置き、スマホで写真を撮れば現場の状況が分かるというものです。大雨が降ったときも現地に行かなくても状況が確認できますし、必要なときだけカメラの電源を入れることでコストを抑えています。
データが活用できると省力化だけでなく、新しい考え方も生まれると思っています。今年は高温が続き、品質のいい米ができませんでしたが、今後は水管理を工夫していくことが必要になるかも知れません。そのときに水温を見ながら管理することができる。データに基づけばヒントやアイデアが生まれやすくなると思います。農業は自然のなかで栽培するものでありベースはそこですが、人間の思考をサポートするうえでデータは利用できると思います。
一方ではいろいろな相談も受けていて、最近では上流の水門の遠隔管理ができないかという話があります。やはり土地改良区なども高齢化が進んでいて水の管理が大変な負担になっているということです。これも急務の課題だと思っていますが、実現できれば節水や流域治水にもつながると思います。しかもデータで見える化していけば下流域の人や消費者も農業でどう水が使われているかも分かるようになる。
また、自動給水機があれば水田の中干しの最適期間を設定することでメタンガスの排出を減らす取り組みもできます。その取り組みが理解されれば農家の所得向上にもつながるのではないかと思います。
水田の水管理に取り組んでみると、農業人口が減るなか、もしかしたら別の人でも管理できるのではないかと思うようになりました。つまり、関係農業人口を増やしリモート農業というかたちで関わる。私たちも田んぼを借りて自分たちで水管理ができるかを試しています。農家の苦労を知ることもできますね。
――いろいろな可能性がありそうですね。
農業はそのライフスタイルに非常に可能性があると思っています。食べ物を作って、それをお金にして生計を立てるというシンプルなスタイルのなかで、心の豊かさを作っていける。実は農業は新しい文化や価値観を作る起点になれるのではないかと感じます。
今後、作った人に誰が食べているか、どんなふうに料理しているのだろうかということが分かったら農家はもっと楽しいのではないか。コミュニケーションや心の豊かさも農業の魅力だと思います。技術は大事ですが履き違えてはいけない。主役は農家であり、農業のライフスタイルです。
※おもな製品の価格
▽水位センサー本体=1万9800円(税込)
▽水温付き水位センサー本体=2万4200円(税込)
▽給水ゲート本体=6万6000円(税込)
重要な記事
最新の記事
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】「政見放送の中に溢れる排外主義の空恐ろしさ」2025年7月18日
-
【特殊報】クビアカツヤカミキリ 県内で初めて確認 滋賀県2025年7月18日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 滋賀県2025年7月18日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年7月18日
-
『令和の米騒動』とその狙い 一般財団法人食料安全保障推進財団専務理事 久保田治己氏2025年7月18日
-
主食用10万ha増 過去5年で最大に 飼料用米は半減 水田作付意向6月末2025年7月18日
-
全農 備蓄米の出荷済数量84% 7月17日現在2025年7月18日
-
令和6年度JA共済優績LA 総合優績・特別・通算の表彰対象者 JA共済連2025年7月18日
-
「農山漁村」インパクト創出ソリューション選定 マッチング希望の自治体を募集 農水省2025年7月18日
-
(444)農業機械の「スマホ化」が引き起こす懸念【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月18日
-
【サステナ防除のすすめ2025】水稲害虫の防ぎ方「育苗箱処理と兼ねて」2025年7月18日
-
最新農機と実演を一堂に 農機展「パワフルアグリフェア」開催 JAグループ栃木2025年7月18日
-
倉敷アイビースクエアとコラボ ビアガーデンで県産夏野菜と桃太郎トマトのフェア JA全農おかやま2025年7月18日
-
「田んぼのがっこう」2025年度おむすびレンジャー茨城町会場を開催 いばらきコープとJA全農いばらき2025年7月18日
-
全国和牛能力共進会で内閣総理大臣賞を目指す 大分県推進協議会が総会 JA全農おおいた2025年7月18日
-
新潟市内の小学校と保育園でスイカの食育出前授業 JA新潟かがやきなど2025年7月18日
-
令和7年度「愛情福島」夏秋青果物販売対策会議を開催 JA全農福島2025年7月18日
-
「国産ももフェア」全農直営飲食店舗で18日から開催 JA全農2025年7月18日
-
果樹営農指導担当者情報交換会を開催 三重県園芸振興協会2025年7月18日
-
伊賀牛14頭が出品、最高値138万円で取引 第125回伊賀産肉牛共励会2025年7月18日