トマト用接ぎ木装置を開発 農研機構が企業と共同研究2021年3月1日
農研機構はイワタニアグリグリーン(株)と京和グリーン(株)との共同研究で、接ぎ木作業の自動化・省力化を実現したトマト用接ぎ木装置を開発。2021年春以降にイワタニアグリグリーンから販売を開始する。
開発機の外観
農研機構は世界的に需要の多いトマト苗接ぎ木作業の自動化・省力化を目指し、接合資材に低コストな樹脂製テープ(粘着剤不使用)を使用した新たな接合方法とそれを用いた自動接ぎ木メカニズムを考案。イワタニアグリグリーンと京和グリーンと共同で実用化に向けた研究を行ってきた。
開発機は穂木と台木の切断部、接合部、苗を把持し移動させる回転テーブル、テープ供給部などで構成。装置の電源はAC100Vを使用し、各作業部に電気モータによって動作する電動アクチュエータを用いた。また、苗切断後の余分な茎等の除去を行うため、エアコンプレッサ(1.1kW、容量25L程度を使用している。

手順として作業者1名が穂木と台木を1株ずつ回転テーブルに供給した後、供給位置から45度回転した位置で両苗の斜め切断を同時に行い、次に135度回転した位置でテープによる接合を行う。最後に供給部から225度回転した位置で、設置されている機外搬出用のコンベア上に苗を落下させ、接ぎ木が完了する。
接ぎ木の接合資材には、伸縮性を有した樹脂製テープを使用しているため、穂木と台木の茎の太さの違いに対して、広い許容範囲での接ぎ木を可能とした。また、苗1本当たりの樹脂製テープの価格は、市販価格と比較して、手作業用チューブの約35~50%、クリップ(ウリ科野菜用接ぎ木装置用でトマトにも利用可)の約15%で低コスト化を実現した。接ぎ木後の樹脂製テープは、苗の生育に伴い徐々に溶着部分が剥がれ自然に脱落するため、除去作業は不要。
作業能率は熟練作業者による接ぎ木作業が200本/h程に対し、開発機は450~520本/h程度で熟練作業者による接ぎ木作業の2倍以上となる。また、接ぎ木から1週間後の活着率は、熟練作業者による接ぎ木作業と同等程度の90%以上を示し、台木と穂木の茎の直径の差が平均で0.6mm程度ある場合でも良好に接ぎ木を行うことができる。
日本のトマトの接ぎ木苗の利用は全栽培面積の約58%(4312ha)に達し今後も増加が見込まれる一方、接ぎ木作業者の不足が深刻化するなか、接ぎ木作業の自動化・省力化を実現した開発機を市場に投入し、接ぎ木苗を増産と安定供給に貢献していく。
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