農業生産と農薬の役割 SDGsへの取り組み-農薬工業会説明会2021年10月26日
農薬工業会は10月19日、「SDGs(持続的な開発目標)」に関するオンライン講演会を開いた。
農薬工業会のSDGsの取り組みを廣岡卓事務局長が説明した。
同工業会では2015年から食料生産の重要性と農薬の役割について情報発信をしている。
世界の人口増に対応した食料増産に農薬は限りある耕地で高効率、高品質の作物生産に必須の生産資材であり、国際的ガイドラインに基づく安全性評価が行われ、人への安全性と環境への影響が評価され、残留基準と使用基準が登録されている。
登録された農薬は適正使用され、健康と安全上の問題はないことが確認されている。
こうした活動も含め農薬工業会は「JCPA VISION 2025」活動を展開しているが、その活動とSDGsとの関連づけを行っている。
たとえばSDGsが掲げる「目標2:飢餓をゼロに」に関しては、農薬を使用しなければ果樹、野菜のほか、水稲や小麦、トウモロコシなど穀物と大豆も2割から3割減収となることや、適切な防除による単収の増加はやみくもな耕地拡大を抑制し、「目標15:陸の豊かさも守ろう」という目標にも貢献する。
また、水稲では除草剤の開発によって1959年に10a51時間だった労働時間が2012年には同1.4時間となるなど、「目標8:働きがいも経済成長も」に貢献している。
ただ、日本では食料自給率が低下するなか、農業者の高齢化、後継者不足、耕作放棄地の増加が懸念されている。こうしたなか農業が「働きがいも経済成長も」という目標を実現し持続性があるものになるよう、農薬工業会は現場ニーズに応えた製剤や散布技術の開発を重点と捉え、スマート農業を後押ししていく方針だ。
また、麦などの穀類に発生する赤かび病は人や家畜に中毒を起す。これを農薬で適切に防除しリスクを軽減することは「目標3:すべての人に健康と福祉を」に貢献することになる。
クサトビバッタ、ツマジロクサヨトウ、トビイロウンカなど近年は越境性害虫が猛威を振るっている。アフリカで広がったクサトビバッタ被害を受けている国は経済力が豊かではなく、国連食糧農業機関(FAO)が支援を行うとともに、は各国の登録農薬を使用した防除を呼びかけており、作物保護の重要性が改めて認識されている。これらの取り組みは「目標2:飢餓をゼロに」への貢献となる。
1980年~2016年の世界の主要企業による新規剤の上市数は日本企業が31%を占め、2016年の後期開発数は日本企業が全体の約40%を占める。農薬工業会は日本企業は欧米大手とくらべて規模は小さいが、新規剤研究開発力は相対的に高く、これは「目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献するとしている。
そのほかSDGsとの関連では、農薬の適正使用をサポートすることは「目標12:つくる責任 つかう責任」につながり、消費者への理解醸成は「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」にもつながる。
同会はSDGsの取り組みを「見える化」して情報を発信していく方針だ。
説明会では農林水産省消費安全局安全管理課農薬対策室が「農林水産業とSDGs」を説明したほか、(一社)日本化学工業協会、シンジェンタジャパン、住友化学からもSDGsに関連する取り組みが紹介された。
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