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【時の人 話題の組織】宮野尚・(株)サンペックスイスト代表取締役社長 新しいスタイルで制服(ユニフォーム)業界を牽引2014年11月21日
銀行や病院あるいは航空会社、そしてJAの本支店窓口など、接客をする職場の多くで着用されるユニフォーム(制服)。そのユニフォームを扱う業界にも新しい動きが起きている。それをリードしているのが、最近合併した(株)サンペックスイストだ。同社の宮野尚社長に、業界動向と同社のめざすものを聞いた。
◆縮小するアパレル 成長するユニフォーム
(株)サンペックスイストは、1961年創業のユニフォーム業界の老舗・(株)サンペックスと1977年創立の(株)イストが合併して誕生したユニフォーム業界の注目株だ。
ユニフォーム業界は大きく分けて、ビジネス・ユニフォームとスクール・ユニフォームに分けられ、市場規模はスクールが1000億円、ビジネスが4000億円、合わせて5000億円といわれている。
ビジネス・ユニフォームには作業服(ワーキング・ユニフォーム)と医療や介護、飲食店などサービス関係のユニフォーム、そしてオフィス・ユニフォームの3分野があるが、(株)サンペックイストは、サービスとオフィス分野を中心に事業展開をしている。そのなかにはJA香川県をはじめ約20件のJAグループとの取引きもある。
日本のアパレル(服飾関係)市場は、現在約9兆円といわれているが、人口構造や消費行動の変化などで、この5年間で約2兆円程度減少してきている。そのなかでビジネス・ユニフォーム事業はここ数年、市場が拡大しさらに2020年東京オリンピックが大きなモチベーションとなってこれからの5年間は「成長マーケット」だと宮野社長はみている。
その背景には、08年のリーマンショック以降に「制服離れ」現象があったが、最近は企業合併が増え、「合併後の社員の気持ちを束ね」て「絆を強める」ための手段として制服が活用され、活性化してきていることがあるという。
成長が見込まれることから、参入してくる企業もあるが、同社は独自の運用・管理機能をもって事業を推進することで競争に打ち勝つ事業展開をしている。
(写真)
宮野社長
◆独自の運用・管理で時代のニーズに応える
リーマンショック後、経費節減の一環として、ユニフォームの廃止や購入時期延期などの策が取られた。会社の顔となるユニフォームを廃止できないような所では、ユニフォームは必須アイテムではあるが、経費は掛けられない。しかしイメージ戦略の要となるユニフォームは整えなければならない。
ユニフォームを購入した場合、社内での管理業務が煩雑になる。しかし同社が15年前から取り組んでいるレンタルという仕組みであれば、枚数管理なども全てアウトソーシングできるというメリットがある。そのため、イメージ面やコスト面などでも利点を持つ新しいスタイルとしてレンタルは受け入れられた。
最近では、ユニフォームを貸与(レンタル)するというだけではなく、それに付随するさまざまな「運用・管理」へのニーズが高まっており、それにいかに的確に応えるかが問われているという。
その機能とは、貸与から返却、廃棄までの物流システム、個人別の貸し出し枚数をデータベース化しきちんと返却されたかなどのセキュリティ面にも配慮した個別管理機能、レンタル終了後の産廃処理などがある。
こういったニーズは、パートなど一定期間を区切っての雇用が多い職種などでは特に高いという。
もちろんそれだけではない。ユニフォームを選ぶときには「着せる側(企業)」「見る側(社会)」「着る側(個人)」の3つ選択があるが、最近は「着る側」が選ぶケースが増えてきている。そこでは「ファッショントレンドの影響は大きく、その変化に的確に対応していかなければならない」と宮野社長。
(写真)
レンタル制服のカタログ。事務服用「GROW」。ほかにも飲食店用、食品工場用、医療用などラインアップは豊富。
◆適正な在庫管理で買取より少ないロス率
JAとの取引きでは、事務服の運用・管理をメインにしたレンタル契約とユニフォームのみを買い取るケースがあるが、運用・管理とセットになったレンタルが多くなってきている。
JAは「金融機関や病院などと同じで、制服の着用確率の高い業種」なので、「私たちにとっては大きな取引先だといって間違いない」。今、購入いただいているJAにも先に触れた「運用・管理機能を発揮したレンタル提案をどんどんしていきたい」と宮野社長は考えている。
その場合、コスト的な問題はどうなのだろうかと思い聞いてみた。
「レンタルするとトータルでは高くなるというイメージが強いのですが、15年以上にわたる業種別のユニフォームの損耗度とか在庫など精度の高いデータ蓄積があり、それを活用した商品の最適運用をするためのノウハウをもっています」
「具体的には、一時的には買取りの方が金額は低いけれども、後から新たに人を雇われたりした場合には追加購入をします。しかも1枚とか2枚ではなかなか買えないのでまとめ買いをすると、むだな在庫を持つことになります」
「弊社では、その会社の人員規模や職種別の分布を見たうえで、損耗率などを勘案して適正在庫を考えますので、少ないロスで運用できますから、最終的には余分なコストをかけずにご提供できます」
と宮野社長は言う。
その自信を裏付けているのが、航空業界で初めて整備部門を除く1万6000人分のユニフォームの運用・管理(個人別在庫管理を含めて)を受注したことだろうと推測した。
「レンタル」というと、「使いまわし」などといったイメージが強いかもしれないが、宮野社長の話を聞いていると、デリバリーの手間暇やセキュリティー、在庫管理など本来は企業側が負わなければいけない(当然、人手がかかりコストもかかる)部分を、任せることで直接的なコスト比較だけでは見えにくいプラス面がたくさんあることが分かった。
(写真)
ファッションの変化にも的確に対応
◆新しいユニフォームで満足度も高まる
契約期間が3年?5年といった設定だから、その時代に合った「ファッショナブルなユニフォーム」を着てもらうことで、さらに着る人のモチベーションがあがるという効果も期待できるのではないだろうか。
現在、500件以上のレンタル契約があるが、「契約終了後レンタルを止めるケースはほとんどない」という。3年契約で3回更新し10年以上にわたって同社を利用しているJAでの「満足度は高い」。
同社は冒頭にも触れたように、もともとは縫製工場だった(株)サンペックスと小売業だった(株)イストという二つの「DNAが違う会社が一つなることで、ユニフォーム業界の川上から川下までのノウハウを持つ会社になった」。
だが合併して間がないことや、もともと企業風土が異なる企業が一つになりいろいろ問題があるのではないかと思ったが、宮野社長は「異なる文化が一つになったのでそれを『融和』するとともに、交わることによる相乗効果をあげて互いに刺激し合える環境にしていくことを心がけている」という。
「川上から川下までのノウハウを有効に活用するとともに、さらに他社にはない『運用・管理』という新しいスタイルの最適化をはかり、一歩も二歩も抜け出していきたい」と、53歳と若い経営者である宮野社長は熱く語ってくれた。
制服(ユニフォーム)は、JA本支店の窓口業務には必須といえる。デザインも運用・管理も時代のトップをいく、(株)サンペックスイストを利用し、新しい制服を着ることで、貴JAの職員のモチベーションはさらにアップするのではないだろうか。
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