こんにゃく由来セラミドが認知機能低下の抑制に期待 ヒト脳内アミロイドβ蓄積を防止2021年7月6日
株式会社ダイセル(大阪市北区)は、北海道大学と北海道情報大学との共同研究で、同社が開発した健康食品素材でこんにゃく由来グルコシルセラミドの摂取がヒト脳内アミロイドβ蓄積を予防し、アルツハイマー病などによる認知機能の低下を抑制・維持できる可能性があることを確認。研究成果は、7月3日~4日に開かれた「第75回日本栄養・食糧学会大会」で発表された。
「こんにゃく芋」の成分が認知機能低下の抑制に期待
アルツハイマー病などの認知機能の低下を引き起こす進行性の疾患は、アミロイドβと呼ばれるタンパク質が脳細胞外に蓄積することが原因と言われる。これまでの研究では、こんにゃく由来グルコシルセラミドをアルツハイマー病モデルマウスに経口投与することで、アミロイドβクリアランス効果を保持する神経由来エクソソームが増加し、脳内アミロイドβ蓄積が抑制されることが明らかになっていた。そして今回は、ヒトが経口摂取した場合での効果を検証するため、北海道大学および北三者の共同研究でプラセボ対照ランダム化二重盲検試験を実施した。
なお、同研究に用いたこんにゃく由来グルコシルセラミドは、皮膚の保湿・バリア機能を高める機能性食品素材として販売している原料で、板こんにゃくの製造時に廃棄される「飛び粉」から抽出製造するサステナブルな原料。グルコシルセラミドは、多くの植物に含まれているが、小麦胚芽や米ぬかなどに比べ、こんにゃく芋の飛び粉抽出物はセラミド含有量が高いことがわかっている。
変化量有意差グラフ
研究では、試験期間を24週間とし、60歳以上80歳未満の被験者20人(平均70.1歳)をプラセボ食品群10人と被験食品群10人に構成し、プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を実施。それぞれの群にプラセボ食品またこんにゃく由来グルコシルセラミド5.4mgを含む被験食品を摂取いてもらい、0週、12週、24週に血中アミロイドβバイオマーカー値の測定を実施したところ、被験食品群で、0週目との比較で12週目に有意な低値を示した。さらに層別解析を行ったところ、アミロイドβバイオマーカー値が相対的に低めの集団では、摂取12週後、24週後において被験食品群の変化量がプラセボ食品群より有意に低値を示した。
今後は、さらなるヒト介入試験を進め、認知機能分野における機能性素材の開発に取り組み、健康長寿に役立つ製品の提供をめざす。
重要な記事
最新の記事
-
(448)郷愁とノスタルジー【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年8月15日
-
あらゆる暴力の即時停止を 被爆・戦後80年にメッセージ発表 パルシステム連合会2025年8月15日
-
京都府「第3回京のこだわり畜産物レシピコンテスト」開催2025年8月15日
-
「パンのフェス2025」三井アウトレットパーク木更津で9月に開催2025年8月15日
-
機械審査なし「お米番付12回大会」エントリー開始 八代目儀兵衛2025年8月15日
-
東京23区の住民 過去1年間に森林を訪れたのは3人に1人 森林総研2025年8月15日
-
【サステナ防除のすすめ2025】秋冬野菜の病害虫防除 異常気象こそ先手対応を2025年8月14日
-
見なくなった案山子、燕・雀・烏【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第353回2025年8月14日
-
花がよく売れるお盆・彼岸から見えてくる花産業の問題点【花づくりの現場から 宇田明】第66回2025年8月14日
-
渡り鳥「キビタキ」「ノビタキ」越冬地との間の移動経路を明らかに 森林総研2025年8月14日
-
国産・添加物削減・減農薬にこだわり「デポー国領駅前」リニューアルオープン 生活クラブ生協2025年8月14日
-
果実のフードロス削減・農家支援へ「キリン 氷結 mottainai 浜なし」再登場2025年8月14日
-
【役員人事】バイエル(9月1日付)2025年8月14日
-
「地元で働きたい」に応える 地域限定採用で安定雇用も実現 パルシステム埼玉2025年8月14日
-
政府の「米増産」方針 立ちはだかる「壁」と拭えぬ不安 産地JAと米農家の声2025年8月13日
-
【サステナ防除のすすめ2025】果菜類(施設)編 太陽熱で死滅狙う(1)2025年8月13日
-
【サステナ防除のすすめ2025】果菜類(施設)編 太陽熱で死滅狙う(2)2025年8月13日
-
危険な暑さご用心【消費者の目・花ちゃん】2025年8月13日
-
「新潟県産もも」旬の食べ比べ講座 品種ごとの味や食感を学ぶ JA新潟かがやきなど関連団体2025年8月13日
-
親子で地球にやさしいエネルギーを体験「とよたパクパク★ECOフェスタ」開催 生活クラブ愛知2025年8月13日