いちごは「酸味」より「甘味」が人気 物価高も値上げ幅はわずか 農業総研2024年4月2日
全国の都市部を中心としたスーパーマーケットで「農家の直売所」を運営する農業総合研究所は、今年のいちごの傾向について調査。1月1日〜1月31日の期間、同社が全国2000店舗以上のスーパーマーケットで展開する「農家の直売所」と産直卸での販売データ、および、スーパーマーケット担当者や生産者へ直接のヒアリングを基に結果をまとめた。
同調査で、「農家の直売所」の出荷データを調べたところ、近年いちごは「酸味が強い品種」よりも「甘さが強い品種」が人気となっていることが明らかになった。「甘さが強い品種」として特に大きな伸びを見せているのが、「おいCベリー」。同社の2023年の出荷量は、一昨年と比較して220%と大きな伸びを見せている。
「おいCベリー」は、ビタミンCがいちごのなかでも特に多いのが特徴で、7粒で1日に必要なビタミンCを摂取できる。濃赤色で光沢のある果肉は糖度が高く、食味も良好で、日持ち性も優れている。一方、いちごの代表的な品種「紅ほっぺ」は比較的小さく、果肉は中心部まで淡赤色で断面が美しいことから、ケーキによく用いられ、酸味がやや強いのが特徴。「紅ほっぺ」の2023年の「農家の直売所」での出荷量は一昨年と比べて、94%とわずかに減少。ビタミンCが多く甘味が強い「おいCベリー」の伸びが突出していることがわかる。
価格はわずかに上昇しているが、コスト上昇を吸収できず、「農家の直売所」のデータによると、2023年11月の平均単価(1パックあたり)は655円(1年前と比較して109%)。12月は722円(同108%)、今年1月が720円(同100%)と推移している。1年前と比べて、大きくでも1割弱の値上げにとどまった。
ハウス栽培のいちごは、暖房費が相当かかり、収穫後にもビニールなどの梱包資材や搬送も必要となり、これらの経費も大きく値上がり。こうしたコスト上昇もかかわらず1割弱の価格上昇にとどまっていることから、生産者の収益性が悪化している実態がうかがえる。
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