人気のシャインマスカット 今年は豊作・高糖度の見通し 農業総研2024年9月27日
全国の都市部を中心としたスーパーマーケットで「農家の直売所」を運営する株式会社農業総合研究所は、9月に旬を迎えるシャインマスカットの販売動向とこの秋の収穫予想をまとめた。
シャインマスカット(提供:JA中野市)
同調査は、農業総合研究所が全国のスーパーマーケットで展開している2000店舗以上の「農家の直売所」における販売データの集計のほか、生産者などへヒアリングを実施。
農業総合研究所で8月のシャインマスカットの取り扱いは、2023年はその前の年と比べ、228.2%と大きく増加し、2024年は昨年と比べ、147.9%増加。また、今回の調査に協力したJA中野市(長野県中野市)でも、10年前の30億円弱から、現在は70億円を超え、2倍以上の伸びを見せている。
シャインマスカットの売れ行きが増えている理由は3つ。まず、皮ごと食べられて種がなく食べやすいという、これまでの日本のぶどうとの違いから、ぶどうの消費量を増やした。近年では巨峰など伝統的なぶどうが減少傾向であることもあり、シャインマスカットを軸にぶどう全体の価値を向上させる原動力となっている。
また、収益性が高いシャインマスカットは、新規就農などの際にシャインマスカットを選択する生産者が増えていることも理由に挙げられる。巨峰や稲作からシャインマスカットに栽培品目を変える生産者も増えており、JA中野市でも、シャインマスカットの生産者はこの10年で100人以上増えているという。
さらに、香港や台湾を中心に輸出用も増加。主に贈答に用いられているため、特に品質の高いものが好まれている。
今年の見通し
今年の記録的な猛暑の影響も見られず、シャインマスカットは順調に育っているため、例年より糖度も高く、また豊作が見込まれ、猛暑の影響で収穫時期が早まっている。このためJA中野市の場合、例年9月下旬が食べごろだが、今年は1週間ほど早まるものと見られる。
このほか、JA中野市によると最近の傾向として、鮮やかな赤系のぶどう「クイーンルージュ®」がシャインマスカットの人気が高まっている。シャインマスカットより甘く、種がなく皮ごと食べることができ皮を食べるときに気にならない長野県のオリジナル品種で、生産量も増えている。
長野県のオリジナル品種の「クイーンルージュ®」(提供:JA中野市)
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