中米の行き先を調査する農水省の食管体質【熊野孝文・米マーケット情報】2026年1月13日
1月8日に全米工(全国米穀工業協同組合)が東京千代田区で開催した東日本取引会では19件487tの売り物が提示されたが、成約したのは1件12トンに留まった。全米工は毎月、東日本と西日本で取引会と情報交換会を開催しているが、主食用米の市中相場が下落するに伴い中米の価格も下落、取引量も減少している。さらには国が加工原料用として政府備蓄米の令和2年産米を売却し始めたことやMA米売却などもあって加工原料用の特定米穀の需要も減退している。主食用米の値下がりも著しいが、下げ率としては加工原料米の値下がりの方が激しく、全米工組合員は厳しい状況に置かれている。

8日の取引会界では、1俵1万8000円から2万円の中米やキロ350円から420円の主食用相当の上白米が売りに出されたが、すべて買い見送られ、成約したのは1俵1万7500円の中米が1件成約したにとどまった。
取引会の成約がふるわない状況が続いており、事務局がまとめた今年度(令和7年4月~12月)の成約数量は1394tと前年同期に比べ約3割と大幅に減少している。この主な原因は、主食用一般米の価格が大幅に値下がり、主食用増量品として引き合いが強かった中米の需要が減退したことが上げられる。
これに関連して取引会前に行われた情報交換会で組合員から「事務局から特定米穀の販売先や価格についてアンケート調査が来ているが、これに答える必要があるのか?」という質問があった。これに対して執行部からこのアンケートは、農水省が食糧部会で32万トンの中米が主食用に供給されているというデータを示ししたが、このデータに対して批判が寄せられ、その根拠を示すためのアンケート調査の要請だとの答えがあった。中米の用途はその価格によって変わって来るものであって、はじめから主食用に行くとは限らず、常に変化している。
こうしたアンケート調査を実施すること自体、食管体質が抜け切れない農水省組織の証左と言える。また、加工用向け令和2年産政府備蓄米の売却数量は5万tまで積み上がり、焼酎メーカーや米菓、味噌、さらには清酒メーカーからも購入予約が上がっており、特定米穀の需要先が失われている。参集した組合員からは各社が置かれている厳しい状況が伝えられた。
情報交換会での組合員の情報提供概要は以下の通り。
山形=コメの動きはない。刈取り放棄で残った水田があった。8年産米は主食用米を10%増産する。鈴木大臣が言っていることと矛盾する。大手外食企業が山形県で直播を依頼、20ヘクタール依頼してきた。価格提示は1月15日にされるということで関心をもっている。ただ直播にシフトすると10%収量が減るので、直播が広がれば総量に影響が出るのではないか。
茨城=一気に30%~40%コメの値段が下がった。こうした状況に対処するにはとにかく在庫減らすしかない。
茨城=消費地から例年、年が明けたら持って来てくれという話があるが、今年はそれさえなかった。生産者は減反する気配はなく、にじのきらめきの種子の注文がたくさん来ている。
千葉=ディスカウントスーパーは5kg3500円を切っている精米も販売されおり、価格競争が激しくなっている。また、加工原料用米も実需者は1月~3月期のMA米申し込み増やしてしているところが多い。
茨城=原料米価格の値上がりが著しく、経営が成り立たず酒蔵廃業決めたところもある。酒造業界も大変厳しい状況で長期契約を結べるような状況ではない。
新潟=地元のスーパーでは、新潟コシヒカリ5キロ3980円、新之助3880円で販売していることころある。加工原料米は米菓メーカーが特定米穀に戻って来るのか心配している。
新潟=魚沼農協は3月末まで2万5000円で買うという通知を生産者に出している。それ以降は買わない。六日町農協も追随するだろう。一般コシヒカリは2万3000円。事務局からアンケート調査の依頼が来たが、これは協力する必要があるのか。
執行部=農水省の担当者に聞いたところ「中米の主食用にいく部分の調査」だということ。食糧部会で中米32万tが主食に行くという数値を示したが、これに批判があった。どのくらいあるのかという調査で、主食用は6割から7割ではないか。
新潟=主食、特米とも安売り合戦。某米菓メーカーからはkg200円以下になったら商談しようと言われた。主食2万2000円まで下がる。中米は1万7000円から1万8000円。生産法人から泣きが入っている。政府米買い入れで戻って欲しいところ。
滋賀=もち米もくず米もパンパン。
岡山=にじのきらめきもにこまるも種子がない。高温耐性のある種子が引き合いが強い。
九州=5kg3000円台の精米がスーパーの売り棚に並んでいる。業務用米もメディアがコメの価格は安くなると連日流しているので価格交渉は厳しい。
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