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農薬:防除学習帖

みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(99)ニコチン性アセチルコリン受容体競合的モジュレーター【防除学習帖】第338回2026年2月28日

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 令和3年5月に公表され、農業界に衝撃を与えた「みどりの食料システム戦略」。防除学習帖では、そこに示された減化学農薬に関するKPIをただ単にクリアするのではなく、できるだけ作物の収量・品質を落とさない防除を実現した上でKPIをクリアできる方法を探っており、そのことを実現するのにはIPM防除の活用が重要だ。そこで、防除学習帖では、IPM防除資材・技術をどのように活用すれば防除効果を落とさずに化学農薬のリスク換算量を減らすことができるのか探りたいと考えている。

 IPM防除では、みどり戦略対策に限らず化学的防除法以外の防除法を偏りなく組み合わせ、必要な場面では化学的防除を使用して防除効果の最大化を狙うのが基本だ。その際、農薬のリスク換算量を減らせる有効成分や使用方法を選択できればみどり戦略対策にもなるので、本稿では現在、農薬の有効成分ごとにその作用点、特性、リスク係数、防除できる病害虫草等を整理し、より効率良く防除できてリスク換算量を減らすことができる道がないかを探っている。そのため、登録農薬の有効成分ごとに、その作用機構を分類し、RACコードの順番に整理を試みている。

 前回よりJIRACの分類表(2023年9月版)にもとづいて整理し紹介している。整理の都合上、JIRACコード表と項目の並びや内容の表記方法が若干異なることをご容赦願いたい。

 4.ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)競合的モジュレーター

(1)主要作用機構:ニコチン性アセチルコリン受容体の競合
 この主要作用機構グループには現在のところ、6つのサブグループがあり、そのうち5つに農薬登録を有する有効成分がある。それらを順に紹介することとし、今回はネオニコチノイド系[4A]を紹介する。
(2)作用分類:神経作用
(3)サブグループ名:ネオニコチノイド系/IRACコード[4A]
(4)有効成分名[農薬名]:
 ネオニコチノイド系に属する有効成分は14成分があり、それぞれの有効成分名[農薬商品名]は次のとおり。

①アセタミプリド[モスピラン]
②クロチアニジン[ダントツ,ワンリード]
③ジノテフラン[スタークル,アルバリン]
④イミダクロプリド[アドマイヤー]
⑤ニテンピラム[ベストガード]
⑥チアクロプリド[バリアード]
⑦チアメトキサム[アクタラ,クルーザー]

(5)ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)競合的モジュレーターの作用機構と特徴
  害虫が行動を起こす時、神経細胞が信号を受け取り、それに対する行動を起こすべく、隣接細胞へと新たな信号を発信するという情報処理が行なわれている。この時重要な役割を果たすのがアセチルコリンであり、これが神経のシナプス後膜にあるアセチルコリン受容体に伝わることによって神経興奮が伝達される。本グループは、アセチルコリン受容体と結合して、アセチルコリンによる神経伝達(興奮)を遮断し、害虫を麻痺、弛緩症状を起こして死に至らせる。致死濃度以下でも害虫の摂食や吸汁、交尾、産卵、飛翔、歩行などの行動を抑える作用を示すため、密度低下や加害防止に効果を示す。

(6)リスク換算係数とリスク換算量削減の考え方:
ネオニコチノイド系殺虫剤の各有効成分のリスク係数と基準年のリスク換算量およびリスク換算総量を次表に示した。
これによると、ネオニコチノイド系殺虫剤のリスク換算量の合計は105.7トンと基準年のリスク換算総量に対し0.5%と少ない。しかしながら、再登録審査後には、おそらく登録作物等の適用内容が減らされる可能性が高いが、幅広い害虫に高い効果を示す貴重な優れた殺虫剤であるため、使用可能と判断された適用場面では継続して使用するべき殺虫剤だといえる。
その場合でも、一部では抵抗性が発達した害虫も存在することから、作用性の異なる殺虫剤とのローテーション防除など抵抗性害虫対策を徹底しながら使用を継続する必要がある。
ネオニコチノイド系殺虫剤のリスク係数とリスク換算量(7)ネオニコチノイド系の農薬登録がある主要作物・害虫一覧
     適用害虫別ネオニコチノイド系登録有効成分の一覧を次表に示した。この表は殺虫剤選定の参考とし、農薬の実際の使用にあたっては、適用作物等の適用内容を製品のラベルでよく確認して使用すること。

ネオニコチノイド系の農薬登録がある主要作物・害虫一覧

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