自民1強政治への怒りは続く2018年1月15日
この半年間、政治の波乱が続いた。
7月には東京都議選があって、小池百合子氏が率いる「都民ファーストの会」の嵐が吹き荒れた。都議選の結果、この会が圧倒的な勝利を得て、自民党の議席を半分に減らした。
この嵐が全国に広がって、つぎの衆院選でも自民党が大敗するのではないか、民進党も安心してはいられないとして、衆院議員たちは浮足立った。
しかし、10月の衆院選の直前に、小池氏が「排除発言」をして、状況は一変した。野党が四分五裂の状態になったのである。そうして、議席の獲得数でみるかぎり、野党は惨敗した。
しかし、これで嵐が収まったわけではない。比例区をみると、4野党、つまり、立憲、希望、共産、社民の得票数は、合計で2610万票だった。自民党の得票数は1856万票だったから、4野党の方が、はるかに多かった。3年前の前回の衆院選で、4野党が得た1818万票と比べても激増した。
これだけの多くの票を、4野党が得たのである。つまり、議席の獲得数でみると完敗だったが、得票数でみると、完勝といっていい。
ここで強調したいのは、このことである。自民1強政治への怒りが弱まったから自民党が勝ったのではない。得票数をみれば分かるように、自民1強政治への怒りは、逆に強まったのである。
上の第1図は、昨年の衆院選比例区での4野党の得票率と、自民党の得票率を比較したものである。赤い色の県は、4野党の方が多かった県である。黒い色の県は、自民党の方が多かった県である。
これをみると、自民党の方が多かった県は、山口、富山、福井の3県しかないことが分かる。他の44県は、4野党の方が多かった。このことは、もしも4野党が選挙協力をしていたら、4野党の圧勝だったことを示している。
第2図は、3年前の2014年の場合である。黒色の県の方が多かった。つまり、自民党の方が多かった。それは西日本を主にした26県だった。4野党の方が多かったのは東日本を主にした21県だった。両者は関ケ原をはさんで対峙していた。
◇
さて、昨年の状況を、やや詳しく思い出してみよう。
7月の東京都議選で、小池氏が率いる「都民ファーストの会」が圧勝した。それまでダントツの第1党だった自民党は、議席数を半分に減らし、第1党から転落した。そうして、日本の政治に衝撃を与えた。10月の衆院選でも同じような嵐が吹き荒れ、同じような結果になるのではないか、という観測が流れた。
しかし、衆院選の直前に小池氏の「排除発言」によって、野党が四分五裂になり、自民党の圧勝を招いた。
◇
衆院選で自民党は圧勝したものの、しかし、自民党への支持が圧倒的に多かったわけではない。それどころか、第1図でみられるように、自民党への支持票はほとんど増えなかった。つまり、嵐は、その行きつく場を絞り込めず、多数の野党に分散してしまった。だから、野党はオウンゴールで惨敗したのである。
だが、ここで言いたいことは、野党の惨敗ではない。4野党は勝つだけの力を持っていたことを強調したい。4野党は、それだけの力を持っている。自民党に対する怨嗟の声は、それほどまでに強い。このことを、上の第1図は示している。
◇
次の国政選挙は、1年半後の参院選である。それまでに、4野党に対する期待の声、自民党に対する怨嗟の声をまとめて、国政に反映させなければならない。
そうして、農業者など弱者に苦悩を強いる自民1強政治にレッドカードを掲げ、その退場を命じなければならない。レフェリーは国民なのである。その99%は弱者なのである。
(2018.01.15)
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