【原田 康・目明き千人】「共同販売のモデル 三ヶ日のみかん」2018年6月24日
年明けから春先にかけて小売店で温州ミカンといえば静岡の三ヶ日みかんとなる。
本誌、6月10日号に三ヶ日町農協の井口専務さんが「三ヶ日みかん」の販売事業の紹介をされている。同農協に柑橘の出荷組合が出来た昭和35年頃はみかんブームで各産地が一斉に栽培の拡大を図った。オレンジの自由化もこの頃でアメリカのサンキストオレンジが大量に押し寄せた時代でもある。みかんが安値となり、産地は生食用の出荷を減らすためにジュースや缶詰の加工工場を作った。
このような時代背景で、三ヶ日農協のみかん農家が柑橘出荷組合を結成した。組合は共同販売のルールとして、組合員は農協への全量出荷を義務付け、個人での販売、業者への販売などの違反者は除名処分という「共同販売の基本」を皆で約束した。
品種も「青島」という三ヶ日の土壌、気候条件に合ったものに統一した。
平成に入って、農協合併がブームとなったが三ヶ日農協は合併をせず組合員2,720名、うち正組合員1,635名で農産物販売額は約90億円で75%がみかんである。農協の部会である柑橘出荷組合は796名1,350haの規模でお互いに顔の見える規模である。
販売は90%が卸売市場への出荷である。全国の市場の卸売業者から出荷要請がある。「量は力、味は信頼」と農家は共同販売のルールを守り、農協が全国の相場を見ながら出荷をして日々の価格変動はプール計算により農家の収入の安定を図っている。量とは、約束をした数量は必ず守るということである。
三ヶ日みかんの評判が良いのでニセ物が出回っている。業者が現金をもって農家を回っているが、メンバーは農協への出荷で団結している。このことが三ヶ日みかんのブランド力をさらに高めている。
農協改革の一般論では、合併をして大型化、委託販売をやめて買い取りとするのが農家の収入を増やすとしているが、三ヶ日方式はこれらへの回答である。インターネットや宅配、直売など農家が直接実需者に販売をすることが流行りとなっている中で、農協の販売事業の在り方についての見本を、三ヶ日農協が成果を上げて実例で証明されている。
(関連記事)
・第29回JA人づくり研究会 JA改革、各地で着実に(前半)(18.02.09)
・六本木でマルシェ 農薬会社とJA(17.02.09)
・【JAトップアンケート】JAみっかび 後藤善一代表理事組合長 「モノ語り」を重視 (15.10.27)
・機能性表示食品・三ケ日みかん 11月4日から出荷 JAみっかび (15.10.23)
・骨の健康維持に一役 機能性表示食品・三ケ日みかん JAみっかび (15.09.15)
・農業軸に未来へつなぐ 後藤善一・JAみっかび(静岡県)組合長 (15.01.15)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(146)-改正食料・農業・農村基本法(32)-2025年6月14日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(63)【防除学習帖】第302回2025年6月14日
-
農薬の正しい使い方(36)【今さら聞けない営農情報】第302回2025年6月14日
-
群馬県の嬬恋村との国際交流(姉妹)都市ポンペイ市【イタリア通信】2025年6月14日
-
【特殊報】水稲に特定外来生物のナガエツルノゲイトウ 尾張地域のほ場で確認 愛知県2025年6月13日
-
【注意報】りんごに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 岩手県2025年6月13日
-
SBS輸入 3万t 6月27日に前倒し入札2025年6月13日
-
米の転売 備蓄米以外もすべて規制 小泉農相 23日から2025年6月13日
-
46都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月13日
-
価格釣り上げや売り惜しみ、一切ない 木徳神糧が声明 小泉農相「利益500%」発言や米流通めぐる議論受け2025年6月13日
-
担い手への農地集積 61.5% 1.1ポイント増2025年6月13日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】生産者米価2万円との差額補填制度を急ぐべき2025年6月13日
-
井関農機 国内草刈り機市場を本格拡大、電動化も推進 農機は「密播」仕様追加の乗用田植え機「RPQ5」投入2025年6月13日
-
【JA人事】JA高岡(富山県)松田博成組合長を新任(5月24日)2025年6月13日
-
【JA人事】JAけねべつ(北海道)北村篤組合長を再任(6月1日)2025年6月13日
-
(439)国家と個人の『食』の決定権【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年6月13日
-
「麦とろの日」でプレゼント 東京のららぽーと豊洲でイベントも実施 JA全農あおもり2025年6月13日
-
大学でサツイマイモ 創生大学と畑プロジェクト始動 JA全農福島2025年6月13日
-
JA農機の成約でプレゼントキャペーン JA全農長野2025年6月13日
-
第1回JA生活指導員研修会を開催 JA熊本中央会2025年6月13日