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JAの活動:変革の時代 地方創生の主役は農業協同組合

農業軸に未来へつなぐ 後藤善一・JAみっかび(静岡県)組合長2015年1月15日

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・ブランド力を高める
・人の心を大事に
・地域を一つの経営体に
・儲る農業で後継者育つ

 JAみっかびは、平成17年に浜松市に編入された旧三ヶ日町をエリアとした小さな農協だが「小回りが効く機動的JA」という強みを活かし、全国ブランドである「三ヶ日みかん」を核に「農業を主軸にした地域協同組合?農業と人と地域をつなぎ 未来へつなぐ JAみっかび」を目指している。その基本的な考えを後藤組合長に聞いた。

誇り持てる地域を創る

後藤善一組合長――行政が合併をして、浜松市は遠州灘から長野県境の山間部までという大変に大きな市となり、周囲の農協も合併するなかで、JAみっかびは合併せずにがんばってこられていますが、それはなぜですか。

 後藤 平成7年にJAとぴあ浜松との合併の話があり、委員会もできて合併寸前までいきましたが、合併するとミカン農家の人たちが、誇りをもって努力をして育ててきた大事な「三ヶ日みかん」のブランドがなくなってしまう。それは困るということで、辞退することに決めました。

(写真)
後藤善一組合長


◆ブランド力を高める

――販売事業に占めるミカンの割合は…。

 後藤 年によって価格の変化もありますが、およそ100億円の販売事業のうち86?88億円がミカンです。
 これはブランド力があるからだと思います。ブランド力があると、価格は上下してもその幅が小さく抑えられます。

――そのブランド力を高めてきたのが農協ですか。
 後藤 極論をいえば、地域を守り豊かになるなら、農協でなくてもいいのですが、三ヶ日ではその役割を農協が果たしています。
 私は、地域を一つの経営体ととらえ、売れるものを作る力、それを売る力、そしてそれをマネジメントする力を農協が中心になってつけていくと考えています。行政も合併して浜松市になり、三ヶ日という小さな地域のことまで考える余裕がないので、地域にとってはそれだけ農協の存在意義が大きいと思います。
 農協は、一番地域に密着していて、地域のことが一番分かっていて、自分の故郷である地域への愛情や思いがあります。だから、豊かな地域にしていきたいと思うわけです。そしてこの地域に住むことに誇りをもち、自分の仕事に誇りをもち、仲間に誇りをもてる地域づくりをしていきたいと考えています。
 私が組合長に就任した時に「私たちは 熱き思い、豊かな知識、すぐれた技術により、地域に貢献します」をスローガンとして掲げました。これが私の思いです。


◆人の心を大事に

――「農協改革」といわれていますが、地域にしっかり根をおろしているかどうかが大事だということですね。

 後藤 そうです。ただ、農協にも制度疲労があると思います。

――それはどういうことですか。

 後藤 農協職員のなかにも農協がダメになっても合併することもできるし、誰かが何とかしてくれるという意識があります。
 利益追求がすべてではありませんが、利益を出すということは「世の中に価値を提供すること」でもあるわけですが、そういう意識が希薄だと思います。
 組織は人が運営していますから、経営者の役割は、構成員が働く喜び、つまり新しい何かを実現していけるように仕事ができる環境づくりをしていくことだと思います。農協の理念を大事にしながら、人の組織の運営の仕方を身に付けたいと思い、いま経営学の勉強をしています。

――経営学を学び考え方が変わりましたか。

儲かる農業で後継者は育つ

 後藤 農協もいまの日本社会の情勢のなかで経営していくしかないわけですから、どんな情勢にあるかを知らなければいけません。そして農協の理念や目的を実現するためには、その情勢にあった適切な手法を使って、ベストを尽くしてしっかり経営しなければいけないと思っています。それは人が前向きにやる気をもち、一所懸命に仕事をするような組織づくりをするということです。

――そして地域の中に入り、地域に密着して仕事をしていく…。

 後藤 地域への思いがあり地域に密着しているので、地域の方々も農協のことをよく知っています。そこに信頼関係が生まれます。政府は「地方創生」といいますが、誰も地域のことは知らないと思います。本当に地域を知り、地域に愛情や思いがあるのは農協です。
 そして地域の人の心を大事にした事業、組織にしていきたいと考えています。

(写真)
儲かる農業で後継者は育つ


◆地域を一つの経営体に

――いま、これからの農協のあり方が問われていますが、どうお考えですか。

 後藤 農協の目的は、農業振興が一番です。そして農協は地域で活動していますから、三ヶ日という地域を一つの経営体ととらえて、そのなかでできるだけ生産性を追求して、良いものを品質と量を確保して、ブランドイメージを高めて売る力をつけていくことであり、それを実現する経営手法を身に付けることだと考えています。そして経営は人ですから、職員教育を徹底して人材を育成することです。

――その経営の中心はミカンですか。

 後藤 百年先までミカンかどうかは分かりませんが、温州ミカンの適地ですし、いまはミカンです。
 繰返しになりますが、三ヶ日を一つの経営体・工場ととらえて、そこで、どうやったら良いものがたくさん穫れるかを追求していきます。それにはまず人・労働力の確保です。そして私は、仕事はクリエイティブでなければいけないと考えているので、機械化できるものはできるだけ機械化して生産性をあげ、時代に合った農協経営をしていくことが、地域を豊かにしていくことですし、組合員から信頼されることにもなると思います。

――そうやって「三ヶ日みかん」のブランドを守り地域の農業を育ててきたわけですね。

「三ケ日みかん」が地域の核 後藤 「三ヶ日みかん」のブランドが認められて、サントリーと提携した「三ヶ日みかんハイボール」が東海地方限定で販売されていますし、オフィスでミカンを食べてもらう「オフイスみかん」などの事業展開をしています。

――事業展開をするためには「売る力」をつける必要がある…。

 後藤 生産者は「いいものをつくれば売れる」と思っていますが、必ずしもそうはなりません。売るためは「消費する文化」、つまり新しい市場を作ることです。「三ヶ日みかん」のブランド力とサントリーが提携することで、互いの強みが活かされたウィン・ウィンの関係ができ、新しい市場ができたわけです。
 良いブランドをもっていると、いろいろな所から提携の話がきます。そのことにJA職員も誇りをもって仕事ができるわけです。

(写真)
「三ヶ日みかん」が地域の核


◆儲る農業で後継者育つ

――これからの課題として後継者問題がありますが、これについてはどうお考えですか。

 後藤 三ヶ日では十分ではありませんが、後継者は育ってきています。
 後継者もそうですが、耕作放棄地などすべての問題の根源は、農業が儲からないからです。農業を営むことで儲かるようにすることです。そういう仕事を農協がすることです。当面できることは、いまできた作物をできるだけ高く売り、農家の所得を増やすことです。
 そのためにJAみっかびでは、ブランド力をつけるなど売る仕組みを作ることと、機械化とか省力化・効率化をすすめています。

――「農協改革」で中央会の存在が問われていますが…

 後藤 全国的な政策的問題や教育面など単協ではなかなか取り組みにくく、手法も持っていませんから、私たちにはありがたい存在ですし、必要な組織です。

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