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【森島 賢・正義派の農政論】日本のイスラエル化2018年8月20日

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【森島 賢】

 外交問題のある専門家が「アジアで民主主義体制の国は、日本とイスラエルしかない」と言ったようだ。この専門家は、民主主義をどのように考えているのだろうか。
 「民主主義体制の国」の部分を「アメリカの言いなりになる国」に変えれば、事実としては、全くその通りである。もっと丁寧に言えば、「グローバル資本、つまり無国籍の巨大資本を代弁するアメリカ政府の言いなりになる国」だろう。
 片方の日本は、巨大資本の私兵になり果てたアメリカ軍の他国への露骨な侵略に、いち早く賛成し、協力する。
 他方のイスラエルは、巨大資本の意に沿い、アメリカ軍を後ろ盾にして、自国の軍隊で他国を侵略する。核兵器さえ持っているようだ。
 たしかに、そうした国は、アジアには日本とイスラエルしかない。
 いま、巨大資本は、日本を安倍晋三内閣のもとで、アメリカにさらに近づけ、極東でイスラエルのような国にしよう、と考えているようだ。つまり、日本のイスラエル化である。
 以下は、筆者なりの、問題の整理である。

 中東問題は宗教間で対立している問題だとか、民族間の問題だとか言うが、そうではない。巨大資本と、それに苦しめられている弱者との間の問題である。
 そのことを、巨大資本の側に立つ評論家やマスコミが覆い隠そうとして、宗教問題や民族問題という虚構にすり替えようとしている。そうして、中東問題を分かりにくくしている。
 石油資源の争奪戦という人もいるが、それは巨大資本どうしの小さな内紛にすぎない。
 また、一部の国では、欧州諸国が現地に王制を復活させ、王の周囲にいる大地主や資本家を味方につけて国内を分裂させた。もちろん王制は民主主義とは相容れない。

 

 

 昔から、宗教問題や民族問題は、支配者が他の目的で利用してきたものである。
 宗教問題といっても、教義をめぐる争いではない。民族問題といっても、どちらの民族が優れているか、という争いではない。
 草の根の社会では、宗教の違う人どうしが、また、民族の違う人どうしが、互いに尊敬しあい、仲良く平和に暮らしている。
 しかし、支配者は同じ宗教の人たちや、同じ民族の人たちの団結力に注目し、ある時はそれを利用してきた。また、ある時は脅威を感じてそれを圧迫し、宗教や民族とは関わりのない他の目的を実現しようとしてきた。
 このようにして、国内を分裂させることは、昔から、統治の要諦だという。

 

 

 では、いま、なぜ、中東には軍事衝突になるまでの宗教問題や民族問題があるというのか。実は中東にもないのである。
 それはマスコミが作り出した、目くらましの虚像である。実像のようにまくしたてているが、それは権力に迎合し、権力の都合に合わせて、空しく踊っているだけなのだ。

 

 

 近年の中東問題は、巨大資本と、それに苦しめられている経済的弱者との間の問題である。宗教問題でもないし、民族問題でもない。資源の争奪戦でもない。
 巨大資本は、イスラエルを中心にして、市場と搾取の場を中東に広げ、また、搾取の強化を図っている。そのために、巨大資本の意に忠実に従うイスラエルを、中東の盟主に仕立て上げようとしている。
 日本には、極東で同じ役割を担わせようとしている。

 

 

 巨大資本が要求する具体的内容は、国営企業を潰し、農協などの協同組合経済を潰して、巨大資本が乗っとり、市場を拡大することである。つまり、国家の干渉や規制のない、民営化であり、いわゆる自由化であり、規制緩和である。
 巨大資本が日本の農協を乗っ取ろうとする企みは、その一つの典型である。また、国営企業を潰す問題は、米国と中国の間の経済摩擦の根源である。
 だから、国家や共同体の役割を重視する社会主義的な政治体制は、エジプトのナセル政権のように欧米諸国から激しい攻撃を受けて潰される。
 巨大資本は戦争請負会社を作って、利益を追求するために戦争さえも民営化しはじめた。

 

 

 この、いわゆる自由化と規制緩和は、労働市場にまで及ぶ。 規制を緩和すれば、搾取を自由に強化できる。それが雇用の非正規化である。非正規雇用の拡大は、日本だけでなく、米国をはじめ、世界の各国で横行している。
 さらに、医療や福祉や教育などの弱者に対する国家の支出を無くして、自由にともなう自己責任だ、として弱者を痛めつける。そうして、国家の最低の役割さえも無くす。
 これらの結果、中間層が没落して下層に追い落とされ、格差が拡大することには意を介さない。
 こうして、国家の役割を無くせば、国家はいらなくなる。それが、いわゆる国際化である。そうして、巨大資本が国家に代わって王者になる。

 

 

 巨大資本は、イスラエルと日本を盟主に仕立て上げ、その役割を負わせようとしている。そうして、巨大資本の王国を中東地域の全体と極東地域の全体に広げ、巨大資本の意のままに動く経済圏を作ろうとしている。それは、巨大資本が使いこなす軍事力に支えられた政治圏でもある。
 しかし、両国とも地域内で嫌われている、嫌われ者が盟主になれないのは、世の常である。そして、民主主義というものである。この企みは、弱者の抵抗によって、必ず失敗するだろう。

 

 

 日本も中東諸国と同じように、若者が奮起して抵抗運動の中核的な役割を果たすことが期待される。そうしなければ、日本に未来はない。
 われわれは、宗教問題とか民族問題とかいわれて、刺激的な旋律に耳を奪われるのではなく、通奏低音で奏でる巨大資本と弱者の対峙という主旋律に耳を傾けねばならない。
(2018.08.20)

(前回 そして、鳥がいなくなった

(前々回 二大政党論の破綻と忖度政治の横行

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