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【森島 賢・正義派の農政論】農村は未来社会を目指す2018年10月29日

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【森島 賢】

 農村のような前近代社会は、やがて近代化され、資本主義化される、と多くの人が考えている。だがそれは違う。農村は、すでに近代化されている。
 では、資本主義化されるのだろうか。それも違う。農村の主要産業の農業は、近代化はされるが、資本主義化はされないだろう。資本主義化を素通りして、新しい形の社会を目指している。それは協同組合社会に近い社会である。

 資本主義の欠陥は、景気変動による不況と、それに伴う失業が避けられない点にある。その原因は生産の無計画性、無政府性にある。そしてその根源には生産手段の私的所有による私的生産がある。
 ここには社会全体としての計画性がない。私的な利益を追求する激しい競争のなかで、需要以上に生産して過剰生産に陥るばあいが必ずある。その結果、失業が避けられなくなる。そうなると、どうなるか。

 
 

 
 
 普通の商品の価格は、その商品の再生産費で決まる。
 過剰生産になって価格が下がり、再生産費以下になると赤字になる。一部の会社は、つぎの生産をやめる。倒産する会社もでる。労働者は失業する。非正規労働者のような半失業者もでてくる。
 機械や施設などの生産手段は倉庫の片隅におかれる。片隅におかれるだけだから費用はかからない。ここが重要である。

 
 

 
 
 労働力はどうか。労働力の価格、つまり賃金も普通の商品と同じで、労働力の再生産費で決まる。つまり、労働力を再生産するための、人間として生きるための生活費で賃金が決まる。
 しかし、労働力という商品は、普通の商品とは決定的に違う点がある。それは、失業した労働者は片隅においておくことはできない、という点である。失業しても、人間として生きていかねばならない。生きていくためには、生活費という費用がかかる。この点が重要である。この費用を誰が負担するか。

 
 

 
 
 失業者は資本主義の社会から放逐されたのだから、生きる費用の負担を資本主義に求めることはできない。生きる費用は資本主義以外の社会が負担するしかない。
 つまり、非資本主義社会が負担するしかない。非資本主義社会で非資本主義的に働き、そこから生きるための生活費を得ることになる。

 
 

 
 
 以上のように、資本主義がつづき、景気変動がつづくかぎり、非資本主義社会は欠くことのできない存在になる。つまり、景気変動は資本主義の必然で、したがって、失業も資本主義の必然。だから、失業者が生きていくために、非資本主義社会の存在が必然になる。
 この非資本主義社会の典型が農村である。農村だけではなく、都市にも非資本主義社会がある。
 景気が回復すると、雇用が増え、非資本主義社会にいた安価な労働力が必要になる。そうして失業者が資本主義社会へ戻っていく。
 このように、資本主義社会が存続するためには、非資本主義社会の存在が必要不可欠である。

 
 

 
 
 ではなぜ、資本主義社会では失業の原因になる景気変動が必然になるのか。それは、社会全体の需要を無視した私的で、だから無計画な生産が原因である。
 どんな社会でも例外なく、生産を支配する者は、生産手段の所有者である。生産手段の所有者が、何を、どれだけ生産するか、を決める。そうして労働者を何人雇用し、何人解雇するかを決める。
 資本主義も例外ではない。生産手段の所有者が、どれだけ生産するかを決める。資本主義の特徴は、生産手段の所有者が、個々の私人だ、という点にある。
 だから、個々の私人が社会全体の需要量を考えずに生産量を決める。それゆえ、社会全体の生産量が、社会全体の需要量より少なくなることもあるし、多くなることもある。つまり、生産量を調節できない。少なくなれば価格が上がって好況になるし、多くなれば価格が下がって不況になる。このときに失業が発生する。
 以上のように、資本主義で失業が必然になる原因は、生産手段の私的所有制にある。

 
 

 

 いったい、所有とは何か。それは絶対的支配だという。煮てもいいし、焼いてもいい権利だという。
 しかし「絶対」というものは、抽象の世界や理論の世界にしかない。現実の世界にはない。
 生産手段の私的所有といっても、現実には絶対的な支配ではない。何らかの社会的な制約がある。それが政治や制度に反映されている。農地に工場を建てるには、多くの制約があるし、都市に騒音の大きな機械を設置するには、ほとんど禁止的な制約がある。

 
 

 

 ここで模索されているのは、失業を必然にしないような生産手段の所有制と、所有権を制約する制度である。
 生産手段の私的所有を否定する、という考えが社会主義の考えである。それを徹底的に行おう、とする考えが極端な社会主義である。
 これに対して現実的な社会主義は、つぎのように考える。つまり、極端な社会主義では資本主義の根本を徹底的に全否定することになり、強い抵抗が予想される。それゆえ、多くの国民の合意を得ながら、少しずつそれに近づけようと考える。
 欧州などの社会主義は、この考えに近い。生産手段の所有権に制約を加え、相対化する。また、中国の社会主義は、主要な産業の生産手段の所有権の私有は認めず、公有にする。しかし、主要でない産業の生産手段は私有を認めている。
 協同組合の考えは、生産手段を組合員が平等に所有する。だから、生産手段をどう支配し、どう使うかは、組合員の平等な一票の投票で決める。だから、公有制に近い。協同組合の間の協調もある。だから、計画性がある。したがって失業はない。「万人は一人のために」である。一人でも落伍者が出れば、みんなで支える。

 

 

 歴史をみると、生産力が高い経済制度は歴史に残るし、低い経済制度は歴史から淘汰される。そういう歴史法則が貫かれている。
 農協などの協同組合は、この歴史法則のもとで、互いに切磋琢磨しあい、生産力を高めあいながら、輝かしい未来社会を目指して、懸命な努力を積み重ねている。そうして、新しい歴史を切り拓こうとしている。
(2018.10.29)

(前回 米中の体制間摩擦

(前々回 自由貿易のたそがれ

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