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【熊野孝文・米マーケット情報】コメ消費減よりも深刻 生産現場での人口減少2018年12月4日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

 12月1日成田市のホテルで開催された米穀業者の忘年会。情報交換会と席上取引が終わった後の懇親会の席にステーキが出て来た。ステーキの付け合わせにコメを蒸して味付けしたようなメニューも出て来た。コメ粒が細長いので長粒種を使ったメニューだと思って食べてみると食感がコメとは違う。ウエイトレスにこれは何かと聞いてみると以前は多古米を使っていたが、今使用しているのはコメの形をしたパスタだという。
 以前、この欄でキャベツライスという商品が売り出されたことを紹介したが、このコラムの読者だという人から「こんなものもある」とブロッコリーライスと言うものも写真付きでメールが届いた。コメ以外の原料で作った○○ライスと言うのは、これが初めてではなく、こんにゃくで作ったダイエット食品は良く知られている。古くはコメが手に入らなかった時代に小麦粉をコメ型にして焼いたお菓子などもあった。コメが貴重品で手に入らなかったためにコメの代替品を使う時代とダイエットのために低カロリーのコメ代替品を使うのではまるで意味が違うが、こうした商品が出回ることでコメの消費が減るという点では一緒である。
 農水省は11月28日に開催した食糧部会でコメの需要量を下方修正した。いろんなメディアで取り上げられたので、その内容については周知のことと思われるが、大変気がかりな点が2つあるので、その点について触れてみたい。一つは需要量を下方修正した主な要因になった人口減少のこと。配布された資料にそれによると30/31年の人口推計値は1億2635万1千人でこれに一人当たりの消費量58.3㎏を乗じた736万4千tが需要量。31/32年は人口が約40万人減少し1億2594万6千人に減少し、さらに一人当たりの消費量も57.7㎏に減少するため需要量は726万3千tに減少すると見通している。従来方式との比較では、30/31年が5万t、31/32年が7万tそれぞれ下方修正された。
 一年間に岐阜市や長崎市の人口に匹敵する規模で人口が減少することに改めて問題の大きさを認識させられるが、食糧部会では触れられなかったものの、このことはコメの消費減と同様コメの生産にも大きな影響が出ると予測されている。
 農研機構中央農業総合研究所の見通しによると2025年に現在の水田面積を維持するためには水田作一戸当たりの経営面積は東北で43ha、関東で39ha、四国・九州に至っては69haから72haを耕作しなければならないという数値が出ている。ある意味では生産人口の減少の方が深刻と言える。
 すでに生産現場では人口減少の影響が出ており、このことは冒頭の米穀業者の集まりでも話題になった。話題の一つは、今年の作柄で、どこの産地に行っても「収量減」が伝えられ、その原因の一つとして栽培管理がなされていないことが指摘された。現在、兼業農家はほとんどが一発肥料で、高温で肥料の効きが早くなっても追肥はしないという。結果的に肥料不足で未熟粒の発生が多くなる。
 もう一つは水田面積を増やそうと思っても人手不足で増やせないということ。懇親会の出席者の中には東日本の大規模稲作法人3社に出資して共同経営している人物がおり、昨日ベトナムから帰国したばかりだという。何をしにベトナムに行ったかと言うと、日本のコメ作りをベトナム人に手伝ってもらうためで、その方法は全県の様々な業種と外国人受け入れのための協同組合を作って、年間通して働いてもらうという手法。なぜ、外国人が失踪するのかという生々しい話も聞かされたが、要は送り出す方にも受け入れる方にも問題があるのだが、ちゃんと1年間働いてもらえるような環境を整えて、その上でコメ作りも手伝ってもらうことにしている。もちろん単にベトナム人に農作業を手伝ってもらうという目的だけに来てもらうということでなく、将来的には日本で習得したコメ作り技術を母国でも活かしてもらうという目的もある。
 もう一つの気がかりな点は、コメ消費減の要因として価格の上昇が上げられたこと。具体的には30年産が60kg当たり200円上昇することで消費が1万t落ちると報告された。どのような計算方式でこの量を導き出したのか担当部署に聞いたところ「極めて高度な数式」と言うだけでその式は答えなかった。高度であってもこれまで散々コメには価格弾力性がないと押し切って来たのだから、そうした立派な数式があるのならマンスリーリポートで毎月の価格変動に照らした需要動向を明らかにしたらどうか? その方が31年産の作付計画を立てる上で生産者の役に立つと思うのだが。

 

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(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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