JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(68)エネルギー生成阻害タイプの除草剤【今さら聞けない営農情報】第334回2026年1月31日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るための農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しています。農薬の防除効果は、有効成分をいずれかの方法で作物に付着または吸着させることができてはじめて発揮されますので、高い効果を発揮させるには、有効成分をいかに効率よく作物に付着させるかが鍵となります。しかし、農薬をより効率よく正しく使用するためには、製剤の選択の他に散布対象となる作物やその生育ステージ、あるいは病害虫雑草の生態に合わせた使い方も重要になります。現在、除草剤の生態に合わせた上手な使用方法を紹介していますが、除草剤の上手な使い方を理解するためには、雑草の生態に加え、除草剤の選択性や作用機作も知っておく必要があります。
現在、除草剤の作用機作を紹介しており、今回は、エネルギー生成阻害タイプの除草剤の作用機作をご紹介します。
雑草に限らず植物は、光合成を行うことで生きていくために必要なエネルギーやデンプンや糖類といった有機物を作り出していますので、光合成ができなくなると雑草は生きていけません。
光合成は、葉緑素が光エネルギーを吸収することから始まります。吸収された光エネルギーは葉緑素内で次々と伝達され、やがて特別な色素に伝わって、それが電子を放出します。この特別な色素は電子を放出したあとで、水を分解して酸素が発生させます。一方で放出された電子は、チトクローム(Cyt)と呼ばれるタンパク質などを順々に移動し、さらに別の光化学系(光化学系I)に電子が到達します。光化学系Iに渡った電子は、光化学系Iが吸収した光エネルギーを利用して鉄硫黄タンパク質に渡されます。この電子はやがてNADPという有機分子に渡り、電子を受け取ったNADPはデンプンや糖類をつくる有機物合成反応に使われます。このように、光合成の過程で電子が受け渡される過程は電子伝達とも呼ばれ、電子伝達のエネルギーを利用して、ATPと呼ばれる細胞内でエネルギーの受け渡しに利用される分子が作られます。ATPも電子を受け取ったNADP(NADPH)と共に有機物合成反応に使われます。
この一連の電子伝達が光合成において大変重要で、この電子伝達を邪魔されると雑草は正常な光合成ができなくなってやがて枯れてしまいます。
エネルギー生成阻害タイプの除草剤は、この光合成における電子伝達系に作用してエネルギー伝達物質であるATPの生成を阻害し、殺草力を発揮します。このような作用を示す有効成分にはアイオキシニルやベンタゾンがあり、これらの有効成分は速効的でおよそ1~2日で効果が現れるのが特徴です。
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