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コロナ拡大で畜酪対策どう決着――欠かせぬ新基本計画・元年の視点【記者 透視眼】2020年12月1日

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12月2日から2021年度の酪農畜産政策価格、関連対策の与党協議が始まる。翌週後半、10日前後の実質決着を目指す。最大の焦点は新型コロナウイルス感染拡大の影響をどう見るのか。さらに、今春決定した新基本計画、なかでも10年後の畜酪展望を示した新酪農肉用牛近代化方針(酪肉近)のスタート〈元年〉ということだ。コロナ禍の厳しい需給を踏まえ将来見通す政策が実現できるのか。記者の「透視眼」で見通してみよう。

今後の農政も占う

自民党は2日朝、畜産酪農対策委員会を開き、農水省が「巡る情勢」を説明し、本格論議をスタートする。年末を控える12月は税制、予算案要求など例年慌ただしいが、今年は特別だ。異例の20兆円以上と言われる第3次補正補正予算案の精査と閣議決定も加わる。こうした中での畜酪論議となる。いつにない「短期決戦」だが、課題山積の中でどう着地するのか。米需給問題に次ぎ畜酪も同様の過剰問題を抱えるだけに、論議の行方は今後の農政も占う。
しかも政局も絡む。来年10月21日の衆院議員任期満了まで10カ月あまり。通常なら、いつ解散・総選挙があってもおかしくない常在戦場のさなかである。品目別では、畜酪は米と並ぶ〈政治銘柄〉だ。
かつて「3白」と称された米、牛乳、砂糖の白3品は需給予測が難しい上に政治が大きく絡む難題の農政課題が続く。関連農業団体も強力で、関係議員も北海道、九州を筆頭に関東、東北など有力議員が連なる。つまり畜酪決定は政治の要素がこれまでになく強まるとみていい。生産コストや財源の有無などで政策が決まれば政治家はいらないとなる。

新農相初の政策価格

菅政権、特に野上浩太郎農相にとっては初めての政策価格決定となる。コロナ関連では次期作支援などのドタバタで、農業問題の難しさを実感し、来年以降にひとまず先送りした主食用米過剰の深刻度も肌身で実感したはずだ。畜酪も一筋縄ではいかない。野上氏の出身地・富山は有数の米産地で、稲作には農相も特別の関心をもって対応したろう。だが一難去ってまた一難。畜酪は自民農林幹部の〈総当たり戦〉の様相を呈す。畜種ごとに制度が複雑で専門用語も多い。各議員はそれぞれ選挙区、産地を背負っており、今後の激論、迫力は相当なものだと覚悟した方がいい。

さて今回はどんな展開になるのか「透視眼」でのぞく。

家族経営の位置づけ

JA全中は、21年度畜酪対策でコロナ禍でも中小家族経営を含む生産者が意欲を持って続けられる環境整備が欠かせないとした。新酪肉近の目標達成に生産基盤の回復が急務だ。そのため増頭対策の拡充、畜産クラスター事業の継続を念頭に基金化と予算確保も求めた。経営継続へ家畜糞尿処理への対応も大切となる。防疫対策も大きな焦点だ。猛威を振る鳥インフルエンザ、豚熱など生産者の経営存続に関わる支援も訴えている。
農畜産物・食品の輸出5兆円達成のためにも和牛肉をはじめ畜酪は最重要部門の一つ。守り育て、今の難局を乗り越える展望を示せるのか。

こんな中で大きく覆う暗雲がコロナ禍である。今のところ切れ間ない分厚い雨雲が居座り長雨を降らせ時折雷を光らせる。日本最大の食料基地にして、最大の畜酪生産地の北海道の行方を関係者は懸念と落胆を持ち見守っている。今回の畜酪対策でも焦点の一つとなる。

主産地・北海道感染拡大どう見る

今の北海道はどんな状況か。厳寒下でインフルエンザの懸念とコロナ猛威のダブルパンチといったところだろう。換気をするにも厳寒で本州のように窓を開ける環境にない。生乳処理は特に深刻だ。関係者にはコロナが一挙に拡大した今春の再来の恐怖が見舞う。コロナ感染で学校休校から学校給食がとまり行き場のない学乳も出ている。
各乳業メーカーは生乳廃棄を回避するため、保存の利く乳製品製造を続けている。結果、乳製品の在庫が記録的に積み上がっている。一方でコロナ禍での短期の需給緩和に合わせ酪農家の増産にブレーキをかければ、新酪肉近<元年>の意義は一気に失いかねない。生乳の生産ピークとなる年明けが目前に迫る。

深刻度増す乳製品在庫

農水省は在庫が積み上がる脱脂粉乳で飼料向け、輸入調製品の置き換えなどで具体的な支援を行いそれなりの効果を得ている。もう一つのバターでは国の対策はない。酪農家の経営継続の視点で乳製品過剰対応で新たな対策を示せるのか。残された一週間あまりで濃密で建設的な議論に期待したい。

(K)


※◎新コラム「記者 透視眼」を多少説明しておこう。コラムと言っても感想をつづるものとは異なる。ただ文体はできるだけ柔らかく難解語、業界用語は避け読者にわかりやすいよう心がける。記者の目を通じ大所高所で物事を眺めながら、事の本質を〈透視〉して先を見通す〈眼〉でありたい。一般記事とは違いストレートニュースではない。農政ばかりでなく多様な社会的話題も取り上げたい。文末の(K)は何か。この英文字は夏目漱石が名作『こころ』で用いたことで記憶に残る。不条理を追求したカフカも自身になぞらえ使う。筆者の頭文字の一部でもある。意味深な符号でもある(K)で各回を終える所以だ。


新コラム:記者 透視眼

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