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(248)カリフォルニアの農産物【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2021年9月10日

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「カリフォルニアの農産物」というと、何のイメージがあるでしょうか。温暖な気候と肥沃(ひよく)な大地から生産される農産物、実に400種類以上と言われています。なかでも乳製品、ナッツ類や果実、などが有名です。さて、これは昔からそうなのでしょうか。

カリフォルニアの面積は42.4万平方キロメートル、日本の37.8万平方キロメートルの約1.1倍である。人口は約3,950万人(全米第1位)のため、日本の3分の1というところだ。そのため、人口密度もざっと3分の1と見ればよい。

さて、問題は農産物だ。カリフォルニア州の統計によれば、2019年の同州には6万9900の農場がある。最近ではオーガニック農産物の生産も増加している。こちらは2019年には前年対比で103.5%、104億ドル(約1兆円)規模になっている。

州全体を概観してみよう。2019年のカリフォルニアの農産物販売額は501億ドル(5兆円)に達している。これは全米第1位であるとともに、2位のアイオワ州(245億ドル)の倍以上である。ちなみに、3位以降は、ネブラスカ州、テキサス州、ミネソタ州と続く。米国農業において、カリフォルニア州は過去半世紀以上、圧倒的な首位を占めてきたということを理解しておく必要がある。

カリフォルニア農業の特徴は、先に述べたように温暖な気候を活用して、400種類以上の農産物を低コスト・大量生産に結びつけた結果だが、忘れてはならないことがある。

最大のポイントは、我々がどうしても目の前の物事を中心に見てしまう...、ということだ。とくに、律令制度の確立以来、1000年以上にわたりコメを安定的に生産することを最重要な事としてあらゆる経験を蓄積してきた日本では、特定農産物と土地とのリンクが自然条件の面でも、そしてメンタルな面でも非常に強い。これはこれで良いが、この視点を海外に持ち込み、現象を理解しようとすると、カリフォルニア農業の本質を誤解することになる

一例をあげてみたい。現在のカリフォルニアの主要農産物は、先に挙げたような数々の品目だが、2019年の数字を見ると、まず、乳製品(405億ポンド、73.4億ドル)や牛肉・加工品(27.5億ポンド、30.6億ドル)が目につく。また、アーモンド(127.5万トン、60.9億ドル)やブドウ(648万トン、54.1億ドル)、イチゴ類(102.万トン、22.2億ドル)などが大手品目である。数はブドウが多いが付加価値はアーモンド、という事だ。

筆者が長年関わってきた分野はどうか。最大のものは牧草(579.5万トン、7.9億ドル)で、次がコメ(209.6万トン、9.0億ドル)と砂糖ビート(108万トン、0.5億ドル)くらいである。穀物関係ではコメがそれなりにあるものの、小麦は241,500トン、金額にして4,389万ドルに過ぎない。

カリフォルニアの小麦、若い世代の穀物関係者は「何をバカなことを言っているのだ?」と思うかもしれない。「あり得ない!小麦なら大平原地帯や中西部でしょう」と。

だが、19世紀の半ばから後半にかけ、カリフォルニア産小麦は全米有数の生産量を誇ったことがある。「穀物=小麦」と考えられた時代、今から140年ほど前の時代である。

一世を風靡(ふうび)し、最盛期には100万トン以上の生産を誇ったカリフォルニアの小麦も、20世紀に入ると急速に衰え、瞬く間に表舞台から消えていった。代わりに台頭したのが、大麦であり、さらには果実、ナッツ、野菜、つまり現在の我々が見ている風景だ。

100年単位で見た場合、現在我々が見ているカリフォルニアの農業は、生産技術だけでなく灌漑(かんがい)なども含む技術や輸送、さらに大平原地帯の諸州など新たな生産州の登場や、国際需給の変化などにより、土地と農産物のリンクが大きく転換した結果に過ぎないということがわかる。彼らは、状況により何が良いかを判断して変えてきた、という訳だ。

大化の改新(645年)の頃からの基本的思考はそう簡単には変わらないかもしれないが、そのコメでさえ、例えば、たかが30年程度で北海道の生産地としての地位は著しく変化している。まして、畜産物、野菜、果樹などは今後の変化はより速いであろう。

もしかすると、我々より3世代くらい後には、日本農業の代表的品目はかなり様相が変わっているかもしれませんね。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
三石誠司・宮城大学教授のコラム【グローバルとローカル:世界は今】

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