「兼営事業」の強みを発揮する改革に取り組もう!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2023年2月21日
拠点的なJAの施設・事業は誰のためか

JAは多くの施設によって、幅広く事業が行われている。役職員は、「JAの特徴は、総合事業である」と声高に自慢するが、どう考えても「総合」ではない。1970年代までの話である。正確には、「兼営」だと思っている。
現代の「総合商社」とか、大型ショッピングモールの「総合小売店」、大学病院のような「総合病院」などの「総合」と同じように、「JAは総合事業である」と言っても、JAを知らない人たちには、まったく通じないが、JAの世界では、世の中の実態に合わない考え方がいまだに残っている。
20年ほど前から、役職員に言い続けてきたこと。それは、JAの経営者や幹部職員のなかには、総合事業や総合経営と称して「どんぶり勘定の経営」、「事業を一緒くた」に考えていて、早く頭を切り替えてもらいたい。たとえば、それぞれの事業は専門性があり、サービスの品質も職員の対応も、組合員やお客さまとの向き合い方も大きく異なる。なのに一律に人事異動をしようとしたり、個々の事業の長短を理解せず、事業ごとの戦略性や特性発揮、差別化を図ろうとしないことだ。
せめて、「総合事業」だからと、すべての事業を一律に考えて、人事異動をすることだけは、もうやめるべきだし、定期的な異動を求める役所や指導機関の現場無視、時代錯誤は反省し、転換してほしい。JAの足を引っ張っているとしか考えられないからである。コンプライアンス以前に、JAの事業がなくなる方が問題ではないか。
JAの事業別戦略は、人事から始めたい。JA事業は、職員によって実績は変わる。この春の人事から。速やかに実行してほしい。
なぜ、こんな話をするかといえば、「JAの特徴は、事業の『兼営』にある」と強調すれば、それぞれの事業の意味や良さ、特性を活かそうと考えるだろう。また、事業の特性を発揮しようとすれば、JAの他事業との連携や一体性を考え、差別化した優位性の発揮に取り組むことになるからである。
#それぞれの事業には「特性」があり、商圏も戦略も違う
数年前にコンサルをしたJAの話である。支店や施設の統廃合計画の検証と再検討の必要性の有無に関する調査だ。管内は、全域が農村地域である。将来的には、金融特化型の支店は再編していき、拠点的な事業施設の集積を前提にした整備が望ましいとの方向性を提案した。
実際、このJAの施設整備の計画は、その方向性で進んでいた。というのは、ある地区の施設をみると、JAの支店があり、隣にJAが直営するコンビニエンスストア。道路を挟んで、農産物の直売所、肥料・農薬・園芸資材などの経済店舗、セルフのガソリンスタンド、自動車・農機具の整備工場、軽自動車のディーラーショップ、プロパンガス関係の窓口・器具販売コーナー、さらに、農家指導の拠点としての営農センター、集出荷施設、ライスセンターがある。理想的なJAの拠点的施設群が揃っている。
これほどまでに、JAの事業施設が集積している例はそうそうない。でも、考えていただきたい。これらの施設のうち、農業経営を行っている農家に必要な施設は、営農センター、集出荷施設、ライスセンターの3つである。それ以外の8つの事業施設は、農家以外の一般の生活者を対象にしている。なのに、すべての事業施設の運営や事業展開は、農家・組合員だけを対象にして行ってきたし、これからも,そう考えているのである。せめて、事業ごとのマーケティング、目的、目標、方法などの明確にするところから始めてほしいのだが・・・。
兼営事業だからこそ「一緒くた」には考えられない!
たとえば、JAの支店、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、農産物直売所を取り上げてみよう。この4つの施設は、それぞれに事業特性があり、対象となる中心顧客は異なる、商圏エリアも、提供するサービス、知識や情報も違う、将来を考えての顧客対応や配送・訪問・相談などの活動も違いがある。それを理解した職員が働いているのだろうか、そして、組合員やお客さまに向き合っているのだろうか。そうは思えない。
支店は別にしても他の施設は、言葉は悪いが、"アルバイト"の職員が対応している事業レベルではないだろうか。これで、事業利用者が増加し、事業量が増え、成長する事業になるのだろうか。JAの収益に貢献し、総合事業のメリットを発揮した事業や経営になっている、と胸を張れるだろうか。
事業を一緒くたに考えて、職員を「要員」(アタマ数)として配置して、前例踏襲型の業務を毎日繰り返しているのではないか。これがJAの「総合事業」の実態だとしたら、怖い話ではないか。もちろん、そんなJAばかりではないことも承知している。
来年度の計画策定が進んでいる時期である。JAは合併で組合員が増え、事業エリアが広域化している。JA事業の最大の特性である「兼営」を前提に、事業ごとのマーケティングを考えてほしいものである。
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