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JAの「強み」を武器に、地域社会に攻め込もう!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2023年8月15日

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JAの常勤役員は「役員室」を出て、社会活動へ

A・ライフ・デザイン研究所 代表 伊藤喜代次

すべてのJAは、長い歴史をもつ。多くが100年前後の歴史を有している。明治時代から地域の変化や発展とともに生きてきた。なのに、現在の地域社会との関係性は薄い、弱いというイメージが強い。

個人的な印象だが、昭和の終わり頃からか、JA自ら壁を作って、自身の領域を狭めたのではないか、と思う。それは、地域内への競合勢力の進出、台頭が要因とみている。JAは競合を避け、内なるマーケットに絞り込んだといえる。

新規の組合員加入にしても、申込者に限って門戸を開くだけで、積極的な組合員増強策は控えられた。競合対策や価格競争などにも参入しない。このために組織や事業の流動化が低下、組合員利用の固定化、利用度の偏在を招いたと考える。

いまは、この内なる壁を破り、地域社会に打って出る、強みと特徴を前面に掲げて攻めていく時ではないか。JA合併も攻める組織変更ではなく、守りの組織になっているように見受けられる。残念なことだ。

だからといって、これまでのような事業推進目標を強化するとか、組合員を何人増やすといった目標ではなく、地域住民のなかにJAという"組織の存在感"の認知、地元組織としての共生の姿勢を訴えていきたい。また、地域活性化に向けた事業商品の開発、たとえば、かつて各地の信用金庫が商品化した「子供の数に応じて金利を優遇する住宅ローン」、「年金受給者向けのリフォームローン」、「新社会人向けクルマローン」なども工夫して、地元らしい商品を提案したい。

そして、もっとも行動してほしいのは、JAの経営トップ陣、常勤役員のみなさんだ。JAの役員室を出て、地域の経済団体や諸組織のメンバーに名を連ねる積極的な姿勢をもってほしい。それを契機に全面展開に転じたい。上が動けば組織は動く。

また、各支店や店舗では、JAの強みや伸ばしたい活動を中心に、地域社会に溶け込む方策を考え、展開する。とりわけ農業と食生活に関連する農産物の販売や定期配送、贈答送付、出荷落ち野菜の販売事業など、より戦略的に地域社会との接点をつくり、面展開する方向を考えたい。

気づいてほしい、「JAに悪いイメージをもつ人は少ない」

JAは、長い歴史をもち、非営利組織で、安心・安全な食料生産に携わる組織であって、社会の嫌われ者ではない。まだまだ、組織としての存在価値は高く、アピールする強みも多い。JAの組織や事業、役職員に対し、悪いイメージを持つ地域住民は少ない。

私は、JAからコンサル依頼を受け、打合せの際に、組織のルーツが明治か大正の何年に設立された産業組合かを尋ねるが、意外にも、自身のJAの歴史を、明解に話してくれる役職員は少ない。

実際、こんな例があった。JAからの資料ではわからなかったが、JA内部に設置された30歳代の中堅職員による中期計画策定プロジェクトチームを対象に、短期集中型の能力開発ビジネス研修を行った。その際に、全員に宿題を出し、手分けをして、このJAのルーツを調べてもらった。

すると、策定予定の中期計画の3年目が、「JA創立 満100周年」であることがわかったのである。そこで、この中期計画のキャッチコピーは、「100年のご愛顧、ご協力ありがとうございます。次の100年もよろしくお願いします。」を使おうということになった。

100年にわたり、この地域社会の変化・成長・発展とともに生きてきた組織は、地域のみなさんと苦楽を共にし、辛苦の歴史を刻み、地域共同体の一員として組織の力を発揮してきたはずだ。それは、認めてもらえ、評価されるはずである。

積極的に「地域同化戦略」の展開に向け、行動しよう

このJAでは、組合長にお願いし、地元の商工会へのメンバーとして加入してもらった。すると、翌年、副会頭に選出され、重要な役職とともに、イベントへの職員動員が生じたが、それまでイベントにボランティアとして活動してきた地元の信用金庫の職員よりも、JAの職員の働きぶりが素晴らしく、評判になった。これで、JAへの信任が高まり、市内への直売所出店を容易にした。また、商工会からは、JAの本店に事務所を入れてもらえないか、との打診があったと聞いている。

何回も書くが、JAのトップが率先し、自信をもって地域社会に飛び込む行動姿勢が重要だ。JAの役員は、経営者としてだけではなく、人心を集める人柄の方々であり、行政機関をはじめ、地域の諸団体に必要な人財でもある。常勤役員だけでなく、非常勤理事にも協力をお願いしたい。そして、名前だけではなく、農業や食の問題を中心に、多様な場面での積極的な発言、問題提起をお願いしたい。

もちろん、JAの地域社会との関係づくりへの理念や方針、長期ビジョンも公開し、理解を求めたい。そして、地域創生、地域の活性化を応援したい、というメッセージを積極的に伝え、同時に、地域の農業や農家にも応援の要請をお願いしたい。

地域の農業や担い手問題など、広く地域の企業や組織のみなさんから、パワーもアイデアもいただく機会をつくること。JAの悩みや今後の不安は、行政も中小企業も商工会も同様なのである。いっぱい問題を抱えている。地域社会の中で、一緒に考える姿勢と行動が必要ではないか。

私は、コンサルJAの職員が地元の消防団に何人が加入し、年間10日~2週間も出動していたり、地域(集落)の役員、PTAの役員などに関わっている職員が何人いるかを調べることにしている。これだけでチラシを作成し(貯金や共済のことは書かずに)、支店回りに配布をお願いしたことがある。このチラシを見て来店し、「職員のみなさん、ご苦労さまです」と、貯金取引を始めてくれた人が何人もいた。これは、支店などの現場レベルでの地域への攻め込み方の一例である。

もう一つの重要な戦略的カギは、JAのファーマーズマーケット、直売事業である。このテーマは、別な機会に。

本コラムに関連して、ご質問、ご確認などがございましたら、お問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)より、『コラム名』を添えてご連絡ください。コラム内又はメールでお答えします。

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