シンとんぼ(108)-みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(18)-2024年9月7日
シンとんぼは令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まり、みどり戦略の大義である「安全な食糧を安定的に確保する」を実現するために、現場は何をすべきなのかを考察している。シンとんぼなりの結論は、「現在ある技術を正しく活用すれば、新たな技術開発やイノベーションを待たずとも、みどり戦略の大義は達成可能だろう」ということだった。そこで、みどり戦略対応のために農業現場はどう動くべきなのかについて検証しながら持論を展開しており、現在は有機農業の取組面積拡大に向けた新技術である「生物学的手法を駆使した害虫防除技術」の具体的な内容を検証している。その技術の1つに「共生生物を利用した害虫防除技術」があり、そのアプローチ手法には、①産雌性単為生殖化の利用、②細胞質不和合成の利用、③宿主の生存日数を減少させる微生物の利用、④抗生物質殺菌剤の利用、⑤耐性や適応性の変化の利用、⑥パラトランスジェネシスの利用の6つがある。
今回は、4つ目の④抗生物質殺菌剤の利用を紹介する。
この技術も、前回までに紹介した①、②、③のアプローチとは異なり、害虫に感染している共生微生物を抗生物質で死滅させて害虫の防除に役立てる方法だ。
これは、害虫に感染している共生微生物はある種の抗生物質で容易に死滅させることができることを利用する。利用の仕方には2つあり、1つ目が、アザミウマの一部には共生微生物によって産雌性単為生殖化している種があり、この共生微生物を抗生物質で死滅させることにより、生まれる次世代を全て雄にすることができ、結果としてこのアザミウマの増殖を減らすことができる方法、2つ目が害虫の生存に不可欠な共生微生物を抗生物質で死滅させることで結果として害虫を死滅させる方法である。
どちらの方法も抗生物質をいかにして満遍なく全ての害虫に処理しなければならないことが成否の鍵になる。なぜなら、1つ目であれば抗生物質の攻撃から逃れた雌が産雌性単為生殖化を維持するので雌を産み続けて数を減らすことができないからである。ただ、いずれの方法も害虫種と共生微生物の関係など今後の研究の進展を待つことが多く、2050年までに実用化されるかどうかは未知数のようである。
(つづく)
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】ブロッコリーの黒すす症状 県内で初めて確認 愛知県2025年7月3日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 富山県2025年7月3日
-
【注意報】花き類、野菜類、ダイズにオオタバコガ 県内全域で多発のおそれ 愛知県2025年7月3日
-
【注意報】ネギ、その他野菜・花き類にシロイチモジヨトウ 県下全域で多発のおそれ 富山県2025年7月3日
-
【注意報】りんご、なしに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 宮城県2025年7月3日
-
【注意報】ねぎにシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 宮城県2025年7月3日
-
【注意報】セイヨウナシ褐色斑点病 県内全域で多発のおそれ 新潟県2025年7月3日
-
【注意報】いね 斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 山形県2025年7月3日
-
米生産に危機感 高温耐性品種など急務 日本作物学会が緊急声2025年7月3日
-
【人事異動】農水省(7月4日付)2025年7月3日
-
花産業の苦境の一因は生け花人口の減少【花づくりの現場から 宇田明】第63回2025年7月3日
-
飼料用米 多収日本一コンテストの募集開始2025年7月3日
-
米の民間在庫量 148万t 備蓄米放出で前年比プラスに 農水省2025年7月3日
-
【スマート農業の風】(16)温暖化対応判断の一助にも2025年7月3日
-
令和7年度「家畜衛生ポスターデザインコンテスト」募集開始 農水省2025年7月3日
-
農業遺産の魅力発信「高校生とつながる!つなげる!ジーニアス農業遺産ふーどコンテスト」開催 農水省2025年7月3日
-
トロロイモ、ヤマノイモ・ナガイモ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第347回2025年7月3日
-
【JA人事】JA町田市(東京都)吉川英明組合長を再任(6月26日)2025年7月3日
-
【JA人事】JAふくおか嘉穂(福岡県)笹尾宏俊組合長を再任(6月26日)2025年7月3日
-
国産農畜産物で料理作り「全農親子料理教室」横浜で開催 JA全農2025年7月3日