シンとんぼ(125) -改正食料・農業・農村基本法(11)-2025年1月18日
シンとんぼには農業の持続的発展と食料の安定供給への切なる思いがあり、この思いが一日でも早く実現されることを願いながら、今後の農業を占う様々な事項についてして持論を展開している。現在、2024年6月に改正された食料・農業・農村基本法をしっかりと学び、同法を理解した上で農業関係者が何をしなければならないのかを思案を巡らせている。実際の具体的な内容については来年3月に出される予定の「食料・農業・農村基本計画」で明らかとなるだろうから、詳細の検討は後に行うこととし、まずは改正法から国の考え方の方向性を探っていこうと思い、条文の理解を進めている。
今回は新設された第五条第2項を掘り下げてみようと思う。これは、旧法の第1項の後段にあった「農業の自然循環機能」に関する記述が、新法では第2項として新設されている。
その内容は、「農業生産活動における環境への負荷の軽減は、農業の自然循環機能(農業生産活動が自然界における生物を介在する物質の循環に依存し、かつ、これを促進する機能をいう。以下同じ。)の維持増進に配慮して図られなければならない。」となっている。
内容のニュアンスが若干変わっており、旧法では"農業の自然循環機能が維持増進されることにより、農業の持続的な発展を図らなければならない"となっていたものが、新法では、"農業の自然循環機能の増進に配慮して、農業生産活動における環境への負荷の低減を図らなければならない"という意味になっている。農業の自然循環機能は、"農業の持続的発展"にも"環境への負荷の低減"にも貢献できるものであることを考慮すれば、同じことを言っているのだと思うが、わざわざ第2項を新設して環境への負荷の低減への配慮を強化しているのだろうとシンとんぼは解釈している。
環境への負荷の低減を図ることは、当然行われなければならないものではあるが、用水路の整備が土の水路で生息していた水生生物にとって環境破壊そのものであるように、農業自体がもともと自然環境を破壊して成り立っているものであることをよく理解した上で、農業生産活動に対して、過剰に環境負荷低減を求めることが無いように願いたいものだ。今こそ、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という言葉の意味をかみしめてほしいとシンとんぼは願う。
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