シンとんぼ(137)-改正食料・農業・農村基本法(23)-2025年4月12日
シンとんぼには農業の持続的発展と食料の安定供給への切なる思いがあり、この思いが一日でも早く実現されることを願いながら、今後の農業を占う様々な事項についてして持論を展開している。現在、2024年6月に改正された食料・農業・農村基本法をしっかりと学び、同法を理解した上で農業関係者が何をしなければならないのか思案を巡らせている。実際の具体的な内容については来年3月に出される予定の「食料・農業・農村基本計画」で明らかとなるだろうから、詳細の検討は後に行うこととし、まずは改正法から国の考え方の方向性を探っていこうと思い、条文の理解を進めている。今回は第十八条だ。
第十八条から第二節 食料安全保障の確保に関する施策が記されている。旧法の第二節は、食料の安定供給の確保に関する施策となっており、旧法の「食料の安定供給」の確保が「食料安全保障」の確保に変わっており、新法においては食料安全保障を重要視していることが伺われる。
第二節の始めに記されている第十八条は、「食料消費に関する施策の充実」をテーマにしたものだ。その中身は、「国は、食料の安全性の確保及び品質の改善を図るとともに、消費者の合理的な選択に資するため、食品の製造過程の管理の高度化その他の食品の衛生管理および品質管理の高度化、食品の表示の適正化その他必要な施策を講ずるものとする。」となっており、旧法の第十六条第1項の条文に、「食品の製造過程の管理の高度化その他の」を追加したものになっている。
これは、2021年6月1日より食品を扱うすべての事業者に完全義務化されHACCP認証を意識したものと考えられる。HACCP(ハサップ)とは、Hazard Analysis and Critical Control Pointの頭文字を取ったもので食品の安全を確保するための衛生管理手法のことである。食品事故や不良製品の流通を防ぐ、製造工程の可視化、業務効率化やトラブルの予防などを目的としており、食品を製造・加工・貯蔵・販売・処理するすべての事業者(学校や病院等の集団給食施設も含む)を対象としている。適切にHACCPを導入していることを証明するために、第三者機関による認証を受ける必要がある。
農水省には平成10年に制定された「食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法(HACCP支援法)」があり、これに基づき食品製造業界全体にHACCPの導入を促進して食品の安全性の向上と品質管理の徹底を促してきたが、新法に「食品の製造過程の管理の高度化その他の」が盛り込まれたのは、食料安全保障上もまずは安全な食糧の確保が不可欠と考えてのことだろうと想像している。
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