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【浜矩子が斬る! 日本経済】"過ぎし成長論"の果て 時代錯誤的外環道路計画がもたらす津波を恐れる2025年9月24日

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「東京都外郭環状道路計画」という交通インフラ構築プロジェクトがある。「市民による外環道路問題連絡会・三鷹」に招いて頂き、出講させて頂いたおかげで、久々にこのテーマと向き合った。

エコノミスト 浜矩子氏エコノミスト 浜矩子氏

「外環道路」は東京の練馬区と世田谷区を結ぶ全長16kmの高速道路だ。当初は高架式の建設を予定していた。

だが、これが地域住民の大反対に会い、いったんは棚上げとなった。ところが、その後に石原知事時代の東京都が一計を案じ、地権者の権利が及ばない「大深度(地表から40メートル以深)地下」にトンネルを通す方式に切り替えた。これでプロジェクトは再始動した。だが、住民の反対運動は粘り強く続いた。様々な危険性を訴える住民の声に呼応するように、工事区画の一部で大きな陥没事故が起こった。かくして、現状では事故現場を含む過半の区画について工事停止命令が出ている。ただ、残りの部分については工事続行中だ。この間に、また事故が起きたりしている。

この外環道路計画が初めて世に出たのは、何と1966年のことだった。棚上げ期間を含めて、かれこれ、60年にわたって延々と続いているのである。石原「大深度構想」によって復活したのが2000年代初頭のことだった。

10年ひと昔という。その意味を辞書で確認すれば、次の通りだ。「10年たてば、もう昔である。10年を一区切りと見て、その間には大きな変化のあるものだということ」。10年たてばもう昔なら、60年たったら昔6回分のいにしえだ。1966年の日本人たちは、2025年の日本を日本だと気づけるだろうか。かたや、我々2025年の日本人たちは、振り返ろうと思えば、様々な映像を通じて1966年を振り返ることが出来る。そして、あの時と今の間に存在するギャップに驚嘆する。

今日の日本は、少子高齢化時代の真っただ中にある。道路や諸々の交通手段を利用する人間の頭数が減っている。しかも、高齢者たちは運転免許の返納を勧められている。若者世代は自動車を持ちたがらなくなっている。こんな日本を60年前に想定した人々がいただろうか。その人々の後継者の中に、この構想がとてつもなく時代錯誤的になる日を恐れる者たちはいなかったのだろうか。

1966年の日本において、なぜ外環道路プロジェクトが構想されたのか。あの時の時代環境はどのようなものだったのだろうか。これらのことを踏み込んで確認するために、この年の「経済白書」の中身に当たってみた。

「経済白書」の正式名称は「年次経済報告書」だ。2001年からは「年次経済財政報告書」、通称「経財白書」となっている。初代の報告書が、1947年に発表された「経済実相報告書」である。「経済実相報告書」は、経済安定本部が取りまとめた。「経済白書」となってからはかつのて経済企画庁が担当した。2001年以降の「経財白書」は内閣府が出している。この一連の流れの中で、この文献の質はめっきり落ちている。

その理由を語り出すと話がずれるし、紙幅が足りない。それはそれとして、1966年の段階では、良きにつけ悪しきにつけ、まだかなり気合の入った内容だったといえるだろう。その中で打ち出されている大テーマが「持続的成長への道」だ。この道を確かなものとすべく、「経済成長の天井を引き上げる」と宣言。そのための政策的軸として「財政政策の新展開」を打ち出した。赤字国債の継続的発行を辞さず、公共事業を大々的に盛り上げて行く。そう主張している。

時あたかも、3C時代が到来していた。カー・クーラー・カラーテレビだ。マイカーブームの本格始動が迫って来ていた。道路整備を急がねば。渋滞解消を今から考えておかねば。そのための公共事業が成長の天井を引き上げるのだ。この熱気が生み出した津波が今、大深度地下から吹き上げて来る。決定的な環境破壊をもたらさないことを、ひたすら祈る。

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