シンとんぼ(166)食料・農業・農村基本計画(8)農業の技術進歩が鈍化2025年11月1日
シンとんぼには農業の持続的発展と食料の安定供給への切なる思いがあり、この思いが一日でも早く実現されることを願いながら、今後の農業を占う様々な事項について持論を展開している。
その一環でシンとんぼでは、大本の法律である食料・農業・農村基本法(2024年6月改正)の条文の理解を深め、シンとんぼなりに基本法をしっかりと学べたのではないかと思っている。
現在、同法の理念を実現する具体的な内容を記した(であろう)2025年4月11日に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」(以降、「基本計画」)の詳細を検討しながら、基本法の理念がどのように反映され、どうやって実現しようとしているのか等を検証し、農業現場で何がなされなければならないのか探ろうとしている。
前回、第2部食料安全保障の動向のうち「世界の食料供給の不安定化」について、農地面積の減少と単収の伸びの鈍化、長期的な気候変動や家畜伝染病・植物の病害虫の不測の発生、生産資材である肥料の需給ひっ迫、バイオ燃料向けといった要因によって、世界の食料の総供給量の増加ペースの鈍化が見込まれていると紹介した。
では、その要因それぞれをどのようにとらえられているのか検証してみよう。
まず、農地面積である。世界の農地面積についてはこれまで増加を続けてきた(OECD 及びFAO による)が、今後増加のペースが鈍化し、今後10 年間で1%未満の増加にとどまると見込まれている。これは温暖化や砂漠化などによる農業適地の減少などが影響していると考えられるが、人口増加に追い付くほどの農地の確保が難しいとなれば、農業技術の向上で対応するしかなさそうだ。
次に、作物の単収(面積当たり生産量)についてだ。OECD 及びFAO によると、主要農産物(小麦、大豆、なたね、とうもろこし)の単収については、過去のペースに比して増加の鈍化が見込まれており、今後10 年間で7~10%の増加にとどまることが見込まれている。また、農産物の生産性を評価する指標に全要素生産性(TFP)という農産物の付加価値向上に対する技術進歩等の寄与を示す指標は、世界的には2011 年から2022 年にかけて年率0.97%の増加にとどまっており、その伸びは減少傾向にあるとされている(米国務省)。つまり、農業の生産性に寄与する技術進歩が鈍化しているという意味になり、食料増産のために農業技術の向上が必要とされながら、その肝心な技術進歩が鈍化しているということは、世界の食料供給の不安定化に少なからず影響を与えることになるだろう。(つづく)
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