国産大豆の物流に新スキーム 産地支え流通円滑化へ、全農と相模屋が連携2026年2月18日
JA全農は相模屋食料株式会社(鳥越淳司社長、本社・群馬県前橋市)と、国産大豆を消費地にある中継倉庫まで産地から運ぶ共同の新たなスキームを構築する。産地倉庫の収容力不足を解決しつつ、国産大豆流通の安定化を図る。
国産大豆流通におけるJA全農と相模屋食品共同の取り組みを説明する全農麦類農産部の石澤孝和部長。
左は相模屋食品の鳥越淳司社長(2月18日、東京・JAビル)
最大の産地、北海道がピンチ
2月18日、JA全農と相模屋食料とが東京都内でレクチャーを開き、概要や狙いを説明した。
大豆の取引では、買い手がトラックを仕立て産地に取りに来るのが商慣習となっており、収穫後の大豆は引き渡しまで産地の倉庫で保管される。国内最大の産地、北海道では、このまま大豆増産が進むと5000t~1万tが収容できなくなりかねない。
消費地近くの倉庫に大ロットで輸送
そこで、全農は全農物流、全農食品と連携し、国産大豆を北海道から消費地関東圏内の倉庫に運搬。同倉庫から相模屋グループの相模屋群馬工場や三和豆水庵工場(相模屋グループ)に配送する。
問屋やメーカーが手配したトラックによる輸送は小ロット(10t単位)だったが、産地から中継倉庫への輸送は大ロット(数百t~1000t未満)となる。中継倉庫から相模屋グループの工場等に全農側が運ぶか、相模屋グループが取りに来るかは未定という。
2026年度は、まずトライアルで、国産大豆を北海道から関東の中継倉庫に一次輸送・保管。メーカーの要望に応じて、中継倉庫から相模屋グループの工場に二次輸送する。27年度以降、複数の産地から中継倉庫への輸送や、さらに関西圏の相模屋グループの近隣倉庫への輸送にも取り組みを広げていく。
産地、農家のモチベーションに
全農は国産大豆の生産量の約8割となる18.5万t(2024年産)を扱っている。相模屋食料はその内の約1割を使用し、豆腐製造での国産大豆取扱い実績が全国1位である(輸入大豆とあわせ6.2万t使用、うち1.8万tが国産大豆)。
全農麦類農産部の石澤孝和部長は「大豆の6割は豆腐に使われている。北海道は最大の大豆産地で、倉庫が逼迫している。まずはここから、成功事例を作り、他メーカーにも横展開したい。米は消費地に近い倉庫でも保管されており、それに近い形だ」と話した。農家、産地のメリットには「物が回ること、このメーカーさんが使うと見えることがモチベーションにつながる。産地での移動や二次保管が減ればコスト削減にもなる」とした。
物流とともに「国産使う」マインド向上
相模屋食料の鳥越淳司社長は「北海道の産地に行った。堅牢な設備があったが(大豆をこれ以上)置く場所がない状況だった。国産大豆の調達は複雑で難しい。シンプルでわかりやすく目詰まりが起きない流れを作り、物流とともに国産大豆を使っていこうというマインドを向上させたい」と意気込んだ。
国産大豆の生産量は現在約25万tだが、25年4月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画では2030年に39万tという生産努力目標が掲げられている。産地から消費地近くの倉庫まで大ロットで効率的に輸送し、そこから工場等に輸送する枠組みは、水田活用にも重要な大豆増産を支えるインフラとしても意義が高い。
豆腐メーカー・豆腐屋再生にも
豆腐メーカー、街の豆腐屋はコスト増にもかかわらずスーパー等への価格転嫁が難しく、「薄利多売」の構造から経営破綻も相次ぐ。相模屋食料は「救済型M&A(合併・買収)」を掲げ、これまで経営が傾いたメーカー12社をグループに迎え、再建を進めてきた。「国産大豆振興」は豆腐メーカー再建のカギでもあり、鳥越社長はその面からも今回の枠組みに期待を込める。
「輸入大豆を使って安い豆腐を作り安く売る。豆腐業界はそうした『コストがすべて』の時代をひきずっているが、安売りメーカーからつぶれていく。当社はそれを『価格から価値へ』逆転させようとしてきた。昔から地域に根付く『地豆腐』を丹精込めて作る、いわば原点回帰だ」
M&Aした12社はすべてが黒字化し、7社は債務超過も解消した。鳥越社長はこう語った。
「昔ながらの豆腐を『ああ、これ、これ』と買ってくださるお客様が予想以上にいらっしゃる。国産大豆振興が、安売りで疲弊した豆腐業界を浮上させるきっかけになるのではないか」
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