プルデンシャルは他山の石【小松泰信・地方の眼力】2026年2月18日
「信頼回復に向けた改革の取り組みについて」と題されたニュースリリース(以下、リリース)を、1月16日に発出したのはプルデンシャル生命保険株式会社(以下、プルデンシャル)とその持株会社。

金銭不祥事等の概要
リリースは、プルデンシャルの社員・元社員約100名が、約500名の顧客に対して行っていた金銭不祥事等に関するものである。その概要は次の3件に要約される。
①在職中にプルデンシャルの制度または保険業務に関連した金銭詐取等を行ったのが3名。被害者8名、被害金額約6000万円。
②関連のない投資商品を勧誘し金銭を受け取る行為や、個人的に金銭を借り受ける行為を行ったのが106名。在職中に受け取った金額は合計約16.3億円、退職後に受け取った金額は合計約14.5億円。
③社内規程において取り扱いが認められていない投資商品やその取り扱い業者等を、顧客240名に紹介したのが69名。
金銭不祥事等を招いた原因
リリースには、金銭不祥事等を招いた原因として次の3点があげられている。その概要は次の通り。
①営業社員の活動管理および報酬制度上の課題
営業管理職による適切な管理や本社による十分なけん制がなされない中で、営業社員と顧客の間に密な関係性が築かれ、不適切な事象の検知が十分できなかった。業績に過度に連動する報酬制度が、金銭的利益を重視する志向を持つ人材を惹き付け、営業社員の収入の不安定さが不適切行為につながるリスクを増大させた。
②経営管理態勢の課題
個々の不適切行為の発覚に際し、ビジネスモデルそのものに内在するリスク等に踏み込んだ十分な議論と検証を行っていなかった。創業以来のビジネスモデルを所与のものと捉える経営姿勢があり、抜本的な変革を躊躇する組織風土が形成されていた。管理態勢そのものの整備もきわめて不十分であった。
③組織風土の課題
②に記載の経営姿勢から、「営業社員への過度な尊重」、「ビジネスモデルの絶対視」、「高業績者が大いに称賛される」という組織風土が醸成された。業績が良く、より高い資格に認定され、多くの表彰を得ている営業社員は、顧客からの評価や信頼も得られているものと認識されやすく、結果、その発言権が大きくなりがちであった。
稼ぐライフプランナーは神様です
リリースを受けて早速取り上げた朝日新聞(1月16日20時)も営業社員に関して言及している。
営業社員(2025年4月時点で4329名)はライフプランナー(LP)と呼ばれ「生命保険のプロフェッショナル」と位置付けられる。LPは顧客ごとに異なる「オーダーメイド」のプランをつくり、顧客と長期にわたって個人的な関係を築く。給与体系は成果報酬型で、月の平均報酬額は112万3000円(25年3月)。もちろん成績次第で収入は大きく変わる。
同社関係者によれば、「医者や中小企業の社長など富裕層に太いパイプを持つLPは、数千万円を簡単に稼ぐ」、そして「稼ぐLP」は「神様扱いにされる」とのこと。
今も〝活躍〟している不良社員たち
週刊文春(2月12日号)は、2025年分の〝懲戒リスト〟が記載された極秘内部資料の全容を公開している。そこには、懲戒解雇相当21名を含む45名の処分の内訳が記されている。うち34名は、「相当」と記されたすでに退職した社員。
同誌が、「最も〝強烈〟」と評した「懲戒解雇相当」の元社員は、「自らを『開運王子』と名乗り、(中略)契約者の意思決定を誘導し、適合性の原則に反する高額な保険を販売していた。その際、審査を通すために、契約者の年収や預貯金額を明確に確認せず、結果として過大な保険料の申込をさせた」そうだ。
同社幹部によれば、「こうした不良社員たちは、懲戒処分が出る前に会社を辞め、すぐさま同業他社に転職したり、独立して起業したりしている。(中略)今ものうのうと業界で〝活躍〟しているのが許せません」とのこと。うまい話にはご用心。
保険業界への不信感の広がりと監督の強化
2月12日、第一生命ホールディングスが、傘下の生保3社で社員が出向先の販売代理店から情報を無断で持ち出していた事例が1155件あったことを発表した。同様の事案は、日本生命(1543件)、住友生命(780件)、明治安田生命(39件)でも公表されており、合計3517件に達した。
「Bloomberg」(同日14時47分配信)は、2024年度末の個人向け生命保険と年金保険の保有契約高合計が883兆1330億円と前年度比約10兆円減少したことから、相次ぐ不祥事が不信感を広げ、保険販売に悪影響を及ぼすことを危惧する。
さらに、金融庁が今夏、金融機関の不祥事や不正などの課題に対応するため、「資産運用・保険監督局」を新設し、資産運用立国の実現とともに、保険業界での不祥事や不正問題に対応することも記している。
太田肇氏(同志社大名誉教授)も「コンプライアンスが重要になる中で、会社側は先回りして組織体制づくりが必要だったが、それを後回しにしてきた問題点がいま露呈している」「保険販売にも影響が出かねない」とコメントを寄せている。
他山の石を教訓に
2月17日にJA共済幕張研修センターに行く機会を得た。施設の案内冊子の冒頭には、「共済・保険業界を取り巻く環境は刻々と変化しています。JA共済が組合員や地域住民の期待に応え、常に価値ある貢献をしていくためには、『人材育成』が何よりも大切になります」として、同センターが「人材育成」の拠点であることを示している。
2006年3月に竣工し、今年3月で20周年を迎える同センターの果たしてきた役割は大きい。その一方で、残念ながらJA共済も不祥事と無縁ではなかった。組合員に安全と満足を提供するはずの共済事業が「不安」と「不満」をもたらすことのないよう、生命保険業界の不祥事を他山の石とし、同じ過ちを繰り返さぬための日々の研鑽を怠ってはならない。
「地方の眼力」なめんなよ
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