農作業事故をVRで体験 宇都宮大学で農作業安全授業を開催 JA共済連2024年7月22日
JA共済連は7月9日、宇都宮大学で農作業安全授業を開催。農作業事故を当事者の視点から疑似体験する「農作業事故体験VR」を活用し、農作業事故の危険性や農作業事故を未然に防ぐために必要な知識や対策について、農学部の学生67人を対象に講義を行った。
農作業事故と必要な対策についての講義
農作業事故と必要な対策について学ぶ今回の講義には、JA共済連 農業・地域活動支援部次長の和泉崇之氏が登壇した。
農業における死亡事故の発生件数は就業者10万人あたり11.1件発生しており、これは建設業の約2倍で全産業平均の約9倍。また、建設業、全産業においては死亡事故の発生件数は減少傾向だが、農業は逆に増えていることから、農作業事故の未然防止は喫緊の課題となっている。
JA共済連が共済金支払データを用いて事故状況を分析したところ、負傷事故は年間約6万4000件、1日あたり約180件発生していると考えられる。農作業事故が発生する要因は、①場所や天候などの「環境」、②農機具や生物などの「物」、③作業者である「人」で、ちょっとした油断や機械・道具の欠陥、条件の悪い環境など3つの要因が重なると事故が発生しやすい状況が生まれる。
事故データを分析した結果、特に農機具や生物などの「物」は、多くの事故の原因、かつ重大事故につながりやすいことが明らかになった。授業では、「農作業事故体験VR」で重大事故につながりやすい場面を再現。授業を通じて、農業は他の産業に比べて事故の発生率が高いという事実を認識し、安全に向けた意識を持つこと、またどのような場面が危険であるのかを知り、対策を講じることが農作業安全につながることを伝えた。
「農作業事故体験VR」を体験する学生
実際に「農作業事故体験VR」を体験した学生は、「実家では酪農を営んでいることもあり、農作業に慣れていることから無意識に注意を怠ってしまっているように思う。日常の農作業の中でひやりとする場面は過去何度かあったが、今回体験したVRはそれに近いとてもリアルな内容で、改めて農作業の際には常に注意を怠らないことの大事さに気づく良い機会だった」、「当たり前の農作業の中に大きな危険が潜んでいるということに気づくことができた。このVR体験者がたくさん増えれば、農作業事故は減少していくと感じた」と感想を述べた。
また、同学部の田村孝浩教授は「今回の授業の狙いは農作業事故は決して他人ごとではないということをしっかりと認識し、その上で自分自身で何かできることはないのかを考えてもらうこと。VR体験後のアンケート結果をみると『他人ごとだった事故が自分ごとになった』という記載もあり、今回の授業を通じて学生たちに色々な気づきを与えることができた」とコメントしている。
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