米国産トウモロコシ 下落幅鈍い輸出価格2014年9月10日
内陸輸送費の上昇などで
米国産トウモロコシは2年続きの記録的な豊作予想から先物価格(シカゴ定期)は大きく下落している。しかし、現物の輸出価格の下落幅は鈍い。農家による現物の売り控えやシェールオイル輸送の増大による内陸輸送運賃の高騰などが要因だ。今後、わが国の配合飼料価格への影響も注視される。
◆予測に反して相場高騰
トウモロコシのシカゴ定期は、ウクライナの政情不安や米国産新穀トウモロコシの作付けが遅れたことから上昇し、5月上旬には1ブッシェル5.1ドルまで高騰した。
しかし、7月の受粉期に天候に恵まれ、史上最高の単収(167.4ブッシェル/エーカー、10aあたり約1.06t)で記録的な豊作が予想されている。期末在庫率も大幅に改善され(12/13年:7.39%→13/14年:8.68%→14/15年:13.46%)、需給環境は安定すると見られている。これによってシカゴ定期は下落し、9月5日現在では同3.5ドルとなった(農水省データ)。
しかし、輸出の現物価格はシカゴ定期ほどには下落していないという。
◆農家が売り渋り
シカゴ定期価格は、米国内の取引所が指定した場所での受渡しを基準とした先物取引価格だ。これに対して輸出価格(FOBフラット)は、国際相場や保管料、輸送コストなどを反映した輸出場所(船積み港など)での現物受渡しを前提とした相対取引価格である。
この先物取引価格と輸出価格の差はFOBプレミアムと呼ばれているが、貿易業界紙などによるとこのFOBプレミアムが7月に入ってから急騰しているという。つまり、先物価格は下落しているものの、現物価格にはそれが反映されていないことを意味している。
その要因のひとつが農家の売り渋り。シカゴ定期の下落が進んでいるため、それを嫌気した農家がトウモロコシを売り渋っており、そのため輸出市場で現物に不足感が出ているのだという。例年より3割ほど売りに出す量が少なくなっていると見方もある。
ただ、収穫がこれから本格化すると保管場所に困った農家が結局は売りに出すのでは、と思われる。が、保管事情も変わった。米農務省のデータによるとコーンベルト12州では近年は保管容量が大幅に拡大されている(下グラフ)。そのため現物売りの加速(いわゆるハーベストプレッシャー)は、あまり期待できないと市場関係者はみている。

◆配合飼料価格への影響も
また、米国では一定の景気回復によって、ミシシッピ川のはしけ輸送で燃料や生活資材の物量が増加しているという。シェールガスなどの新たな採掘で貨車がその輸送に利用され、そのあおりではしけ輸送にシフトしているという事情もある。 こうしたことから穀物の大量輸送に必要なはしけやトウボートの集中確保に支障が生じて、はしけ運賃が高騰している。これもトウモロコシの輸出価格上昇の要因となっている。
米国産のトウモロコシは2012年の大干ばつで不作となったが、この2年連続の豊作で輸出競争力は回復した。とくにアルゼンチン、ブラジルなど南半球産の端境期である冬季には輸出需要が米国産に集中する。この傾向は2014年でも同様で今後、冬季にかけて米国産の輸出需給はタイトになる見通しで、そこに内陸輸送などの高騰といった要因が重なるとわが国の配合飼料価格への影響も出かねないとみられている。
(関連記事)
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