パックご飯の輸出好調、過去最高に 昨年の輸出額は33%増 高まる需要に生産体制強化の動き2023年2月7日
パックご飯の輸出が好調だ。農水省が2月3日に公表した2022年の農林水産物・食品の輸出額まとめによると、輸出数量は1384トンで前年より23%増、輸出額は7億9000万円で33%増となり、いずれも過去最高を更新した。国内外で高まる需要に伴って生産体制強化に向けたメーカーの動きが活発で、米の需要が低迷する中、年間約10億食が生産されるといわれるパックご飯の輸出の伸びに期待が高まっている。

農水省のまとめによると、パックご飯の輸出数量と輸出額は、統計を取り始めた2017年は658トン、3億4400万円だったが、2020年には1205トン、6億5800万円とほぼ倍増。2021年は、国内需要への対応でメーカーが手一杯となったため輸出数量、輸出額ともに減少に転じたが、2022年は数量が1384トンで前年比23%増、金額は7億9000万円で33%増加と大きく伸びた。
国別で見ると、最も多いのはアメリカで輸出数量は545トン(対前年比+20%)、輸出額は2億5500万円(同+44%)、次いで香港が312トン(同+45%)で1億7800万円(同+42%)、台湾が127トン(同+4%)で1億1500万円(+16%)などと続いている。
農水省によると、一昨年は海外の需要に対応できなかったメーカーの中でも、昨年は稼働率を上げたり、海外の需要先を開拓する動きが活発で、米国ではアジア系のスーパーなどでよく販売されているという。海外での人気の理由については、レンジなどで手軽に食べることができる簡便さに加え、海外に多い硬水より米に合った日本の水で炊いたご飯のおいしさが浸透し、需要が伸びているのではないかと話している。
メーカーで生産体制強化の動き
パックご飯をめぐっては、国内で年間10億食が製造されているといわれている。コロナ禍の巣ごもり需要などで国内需要が伸びているのに加えて海外の需要増への期待も高まり、生産体制の強化に向けたメーカーの動きが活発化している。
パックご飯の最大手のサトウ食品(本社・新潟市)の販売する「サトウのごはん」の2021年度の売上高は約254億円で、前年度から約20%増え、この10年間では主食用米の需要が下降する中、約2倍に伸びた。コロナ禍のライフスタイルの変化やパックご飯の質の向上などから「主食」化も進んでいるとみている。同社は国内での需要増に追いついていないとして、新潟県聖篭町に新たな生産ラインを増設し、2024年の稼働時には生産能力を年間4億食に伸ばすことを目指している。
また、年間400万食のパックご飯を製造しているJA全農ラドファ(本社・宮城県加美町)は、現在、新工場の整備を進めており、完成すると、合わせて年間2000万食の製造能力を持つ。同社のパックご飯は、ガスによる直火炊きで製造し、地域の米と水にこだわるなど、価格より品質を重視した商品づくりを進めているが、海外からの問い合わせも相次いで寄せられていると言う。同社の担当者は「かつての非常食との位置づけから生活様式の変化や食味の良さなどから日常食として需要が伸びている。将来的には売り上げ全体の20%位が輸出向けになることを目指して取り組んでいきたい」と話している。
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